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トップページ 産業保健と看護 第5回 職場巡視|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第5回 職場巡視

これまでに紹介した「3管理」「3S活動」を踏まえて、次は現場を巡視してみましょう。今回は「職場巡視」がテーマです。

「職場巡視」は法令で、衛生管理者や産業医に義務付けられています。そのため、それ以外の産業保健スタッフが職場巡視をしてもいいのかと不安に思うかもしれません。

しかし、「職場環境」と「健康」は川の流れのように連続してつながっています(連載第2回「3管理」参照)。そのため、社員の健康管理を担う産業看護職にとって、職場巡視は健康情報を得るためのスキルの一つであるといえます。この観点から巡視していきましょう。

事務所の職場巡視では、自動販売機やお菓子の種類もチェックポイントとなります。無糖飲料があまり置かれていなければ、納入業者に商品の提案をしてもいいでしょう。

また、スナック菓子を食べながらパソコン作業をしている人はいませんか? ゴミ箱にスナック菓子の袋が捨てられていることもあります。このように、職場を巡視するからこそ見つけられる生活習慣もあります。

また、喫煙室内の換気状況や周囲の臭いは衛生管理者も確認しますが、産業看護職としては喫煙室内の「喫煙者」チェックも職場巡視の対象になります。ぜひ喫煙室も巡視しましょう。

明るく挨拶しながら職場巡視をすることで、社員と顔見知りになり、保健指導の際も円滑に進められます。何より、明るい表情や声は、快適な職場環境をつくることにもつながります。

事業所も生身の人間の体と同じように、常に変化しています。その時、その場の状況(環境・人間関係など)をキャッチし、早めに対応したいものです。



本連載は『産業保健と看護』2017年9巻6号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。