あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。
第3回 3S活動
前回は3管理、特に作業環境管理の大切さについて紹介しました。今回は作業環境管理の実践として、3S活動についてお話しします。
3S活動とは、「整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisoh)」の3つのSの字をとった名称です。3S活動に清潔や躾・節約・作法・センス等を加え、5Sや6Sという場合もありますが、基本は「整理・整頓・清掃」です。
3S活動を行うことで職場環境が整備され、作業を効率的に行うことができます。労務中の怪我防止や避難経路の確保にもつながります。どこに何が置かれているかが明確になり、作業中に物を探す時間が減り、労働時間削減にも一役を買います。
では、この3S活動の内容について、読者の皆さんは「整理」と「整頓」の区別をご存知でしょうか?
・整理:必要な物と不要な物とを分けて、不要な物を捨てる(図)
・整頓:整理された必要な物を決められた場所に置く
・清掃:整頓された状態を継続するため、掃除をする
まずは必要な物と不必要な物とを区分け(整理)して、必要な物を設置する(整頓)という流れになります。
また、整頓の方法として、3定(3T)「定位・定品・定量」があります。
「誰もが、同じ所(定位)に、同じ物(定品)を同じ数だけ(定量)置けるようにする」方法です。そして、整理→整頓し、その状態をキープするために清掃を行う、これが3S活動です。まずは手始めとして、机の引き出しの中を整理・整頓してみてはいかがでしょうか?
本連載は『産業保健と看護』2017年9巻4号に掲載したものを再掲載しております。
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◆著者プロフィール
勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)
平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。