あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。
第2回 3管理
読者の皆さん、こんにちは。さっそくですが、クイズです。「労働衛生の3管理」をご存知ですか?「えっ? 初めて聞いた!」と動揺されている方、安心してください。本連載はそういう方こそが対象です。 答えは「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」です。さらに「総括管理(労働衛生管理体制)」と「労働衛生教育」を加えて、労働衛生の5管理といいます。3管理は大切なキーワードですので、ぜひ覚えてくださいね。
3管理には順序があります。ポイントは、まず最初に「作業環境管理」、いわば「快適な職場環境づくり」があることです。
河の流れに例えるなら、一番上流に「作業環境管理」があり、次に「作業管理」、そして「健康管理」になります(図)。
健康被害を予防するためには、作業環境管理から対策を講じると効率的です。逆に作業環境管理がうまくいかないと、作業管理、健康管理にはてこずります。ですから、「快適な職場環境づくり」は、労働災害防止や健康管理の観点から重要なのです。
快適な職場環境では作業がはかどりますし、労働災害の発生を防ぐだけでなく作業時間も短縮され、社員のモチベーションも上がります。
社員の健康管理を担当する方は、効率的な健康管理を行うために、ぜひ職場の作業環境をチェックしてみてください。
本連載は「産業保健と看護」2017年9巻3号に掲載したものを再掲載しております。
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◆著者プロフィール
勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)
平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。