上腕骨骨幹部の偽関節
上腕骨遠位骨幹部偽関節症例
- 提供者
- 松村福広(自治医科大学)
- 刊行日
- 2022年04月30日
- 時間
- 08:25
- 出典1
- 症例から学ぶ偽関節の治療戦略
- 出典2
- 03 上腕骨骨幹部の偽関節
【サマリー】
受傷後15年間骨癒合が得られていない上腕骨遠位骨幹部偽関節症例
66歳, 男性:
15年前に転落により受傷した。複数の病院で3度の手術を受けたが骨癒合を獲得することは困難と言われあきらめていた。しかし日常生活でも不便なため紹介された。
初診時所見:
右上肢は内反を呈し、右肘関節は屈曲80度、伸展-10°であった。偽関節部の動揺性が強く物は持てない状態であった。
画像所見:
上腕骨遠位骨幹部は一見肥厚性偽関節を呈しているように見える.偽関節部には人工骨が存在し、ネイルと最近位の横止めスクリューは折損している。
治療方針:
上腕外側に手術創が存在していたため、上腕背側の皮膚切開から後方アプローチを選択する。髄内釘は折損しているため、抜釘は偽関節部から行うことにした。折損した近位横止めスクリューの先端は抜かずに上腕骨の内側に残ることは術前に説明し同意を得ておいた。肥厚性偽関節に見えるが、3度の手術が行われているため生物学的活性にも乏しいことが想定され、自家腸骨移植を計画した。遠位骨片は小さいため2枚のロッキングプレートを用いた強固な固定を予定した。
後療法:
上腕の回旋は制限したが他の日常的な動作は制限しなかった。重量物は術後3か月から制限なく痛みに応じて持たせた。
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