提供:サントリー食品インターナショナル株式会社
従業員の健康促進を目指し、企業では多種多様な活動が行われています。しかし、継続性や従業員の主体性などに課題を感じている例も少なくありません。サントリーのヘルスケアサービス「サントリープラス」は、そういった悩みの解決に貢献するものとして注目を集めています。同サービスを2023年10月から利用するトヨタ紡織東北株式会社に話をうかがいました。
指導や強制とは一線を画す、楽しみながらの健康促進
仕事熱心な従業員へ負担はかけたくない
サントリープラスは、スマートフォン用のアプリと自動販売機が連動したヘルスケアサービスです。アプリをダウンロードしたユーザーは、「朝起きて水を1杯飲む」「いつもより速く歩く」「野菜をたくさん食べる」など、低ハードルの「タスク」を日々実行していきます。タスクをクリアするとポイントやクーポンを得ることができ、それらは専用飲料自販機で商品に交換できます。お得にドリンクを得られることなどがモチベーションになり、無理なくできて、楽しく手軽に健康行動が促されるという仕組みのサービスです。
このサービスを2023年10月に導入したのが、岩手県北上市に本社を置くトヨタ紡織東北です。自動車のシートをはじめとした内外装部品などを製造する同社は、健康診断の受診率こそ100%ではあるものの、それ以上の保健指導に課題を持っていました。「ものづくりへのこだわりと誇りが大きいがゆえに、自分の健康へはなかなか意識が向かないという風土がありました」と語るのは同社で産業保健師を務める堀米久美子さん。同じく産業保健師の後藤成子さんは、「従業員のみなさんは業務に一生懸命に取り組んでおられます。それがわかるからこそ、保健指導などで負担をかけることがためらわれました」と、健康を守る立場ならではのジレンマを振り返ります。
産業保健師を務める管理部安全環境室安全環境グループの
後藤成子さん(左)と堀米久美子さん。
「自動販売機に集まる文化」が根付いていた
2人がサントリープラスの存在を知ったのは、メディカ出版とサントリーが共催するセミナーに参加したことがきっかけです。「楽しそうで、なおかつ健康促進に役立つ」という点に魅力を感じたと言います。
「ともすれば保健師と従業員は、先生と生徒の関係のように健康を“指導する”という間柄になりがちです。でも私は、あまりそのような関係性は好きではありませんでした。それに、当社の企業カラーにも合わないように思っていました。サントリープラスはポイントを貯めたりそのポイントをドリンクと交換できる仕組みのおかげで、従業員が自分から進んで利用し、楽しみながら気がつけば健康行動に取り組むことができます。『これならばうまくいくかもしれない』と思いました」(堀米さん)
同社の工場内は室温が高い職場もあり、従業員は汗びっしょりになることもあるため、熱中症対策として水分補給は欠かすことができません。休憩時間には多くの人が自動販売機に集まり、コミュニケーションの場にもなっていました。このような同社ならではの文化も、サントリープラスとの相性の良さを感じさせました。無料で利用できることも後押しになり、部署内での検討と経営陣への説明はスムーズに進み、導入が決定しました。
堀米さんと後藤さんは上司である熊地雅人さん(左)に
サントリープラスの導入を提案し、検討を行った。
アプリがコミュニケーションやつながりのきっかけになってくれた
拠点ごとの特色を把握することが可能に
トヨタ紡織東北は、グループ会社も含めて5つの拠点を持ちます。サービスの導入時にはサントリーの担当者がそれぞれの拠点を訪問し、従業員向けにサービスの説明とアプリのダウンロード支援を行いました。健康行動の実践状況はデータとして蓄積され、サービスを導入している全国の企業とデータを比較した「偏差値」も算出されます。それによると、同社の従業員は全国平均を上回る歩数を記録しています。
拠点ごとの傾向も見えてきました。アプリのダウンロード率は若手が多い拠点ほど高く、年齢層が高い拠点では低くなっています。しかし後者は、タスクの実施率は高いこともわかりました。
「このデータをもとにして、年齢層が高い拠点ではダウンロードのサポートを充実させようという施策が考えられます。拠点ごとのカラーに合わせた取り組みが可能になったのです」(堀米さん)
後藤さんは「私の仕事は保健指導ではなく、アプリ紹介なのかもしれません」と言って笑います。“伝道師”のごとくアプリの楽しさやお得さを従業員に伝えて回る後藤さん。その過程で従業員と保健師との間で「つながり」が生まれていきます。すると、保健師から「疲れはたまっていない?大丈夫?」といった何気ない声かけができるようになったり、従業員から「体調で気になることがあって……」などと相談に訪れやすくなります。ここにこそ、サントリープラスが果たしている大きな役割があると2人は声をそろえます。
タスクのクリア状況やポイントの貯まり具合をきっかけにして
従業員と親しく話す機会も多い。
インセンティブがモチベーションに
健康行動の重要さは多くの従業員が知っているものの、いざ実践となるとハードルは高いものです。その点においてもサントリープラスは強みを持っています。
「日常のちょっとした行動でポイントがもらえます。ポイントを貯めればドリンクがもらえます。こんなお得なことはないですよね。私も含めてポイ活(ポイント活動)が大好きな人にとっても、見逃せないアプリです」(後藤さん)
「健康行動をしよう」と大上段に構えると、往々にして長続きしないものです。むしろ、「楽しい」「お得」が入口になったほうが無意識に健康行動を実践することができ、長続きもします。人の心と行動の機微をうまく捉え、主体性と継続性を実現しているのです。
堀米さんは、アプリを通じた従業員間のコミュニケーションにも注目しています。
「健康については、それぞれの方の意識や状況の違いがあり、気を遣うことがあります。その点、アプリから広がるトピックであれば誰とでも気軽に話すことができます」(堀米さん)
コミュニケーションが円滑になることは、メンタルヘルスや労働生産性など多方面に好影響を及ぼします。その第一歩として、アプリが確かな役割を果たしてくれているのです。
自動販売機が目に留まることは、健康行動の実践に向けた
リマインダーとしての役割も果たしている。
定期健康アンケート(2024年4月実施)からは、アプリの活用によって
多くの従業員が健康的に過ごせていることがわかる。
手軽にクリアできるタスクが人気を集めており、
達成感を積み重ねられることも健康的な生活を継続できるカギになっている。
本格的な健康経営への足がかりを得ることができた
イベント開催などでアプリ利用を促進する
堀米さんと後藤さんは、さらに多くの人にアプリを利用してもらいたいと考えています。そのための方策の一つとして検討しているのが、「イベント」の実施です。
サントリープラスには、「歩こうフェス」というアプリを活用したウォーキングイベントのサービスが用意されています。チームに分かれて歩数を競うというこのイベントは、自社で開催しようと思うと企画や運営など少なくない手間と費用が必要です。それらをすべてサントリーがサポートし、手軽に開催できるのが歩こうフェスです。チームで参加することや競うことなどがアプリの利用促進に役立つほか、従業員間でのコミュニケーション促進に貢献するという側面も持ちます。
サントリープラスでは、導入企業向けに健康関連のオンラインコンテンツを配信しており、企業の担当者や従業員の興味に応じたサービスアップを検討しています。堀米さんは、「社員向けに健康セミナーも利用したい」とも話し、今後は従業員のニーズや興味に応じた活用を行っていきたいとのことです。
二次検査へのアプローチを充実させる
前述の通り、同社の健康診断の受診率は100%です。その中にはもちろん、二次検査が必要になる人もいます。しかし数値だけを見て一律に二次検査を案内すると、「受診先で『これぐらいの数値で受診するなんて』と言われてしまった」ということも起こりかねません。そうなると保健師と従業員の信頼関係は損なわれます。
「二次検査が必要かどうかという微妙なラインの人との関係性が非常に重要です。日頃からコミュニケーションがとれていれば、いざというときにしっかりと説明できますし、本人にも納得して二次検査に臨んでもらえます。サントリープラスを活用することで、その土台を作ることができました」(堀米さん)
サントリープラスの導入から約8カ月を経て、保健師と従業員との間に顔の見える関係性を構築した同社。その財産があるがゆえの今後の健康経営の可能性の大きさに、堀米さんと後藤さんをはじめ、従業員の健康に携わる人みなが大きな期待を寄せています。
・所在地(本社):〒024-0051 岩手県北上市相去町平林15番13
・創業:1957(昭和32)年2月1日
・事業内容:自動車用内外装部品の製造
・従業員数:1,087人(2024年4月時点)
・産業保健スタッフ:産業医2名(非常勤)、産業保健師2名
(取材:「産業保健と看護」編集室)
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