あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。
第34回 労働安全衛生法
産業衛生活動を行っていると、いろんな法律の名前が出てきますが、特に重要な法律がこの「労働安全衛生法」です。もともとは1947 年(昭和22 年)に制定された労働基準法から1972 年(昭和47 年)に独立したものです。
労働基準法は、憲法に記されている生存権に関わるものとして、労働者の健康で文化的な生存を保障するために制定されました。労働基準法には賃金、就業時間、休息など、労働者が人に値する生活を営むのに必要最低の労働条件を定めています。この中では女性や未成年に対する保護も規定されています。
1960 年代に入り、高度経済成長期に伴って重大事故や新たな職業病が増加したため、労働条件などだけでなく労働者の安全と衛生について定める必要が出てきました。それが労働安全衛生法です。この法律の目的は「労災防止」「職場における労働者の安全と健康の確保」「快適職場の環境づくり」です。
産業衛生活動は、この労働安全衛生法に基づいて行っていきますが、 各項での詳細についてはさらに労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則に書かれています。法律に書かれている内容を満たせばそれでいいというわけではありません。法律以上の社内ルールを策定し運用するなどPDCA サイクルを回し、より健康で快適な環境づくりを心掛けていきましょう。
・労働安全衛生法:安衛法(あんえいほう)
・労働安全衛生法施行令:安衛令(あんえいれい)
・労働安全衛生規則:安衛則(あんえいそく)
と表します
本連載は『産業保健と看護』2022年14巻5号に掲載したものを再掲載しております。
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◆著者プロフィール
勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)
平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。