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トップページ 産業保健と看護 第32回 作業場の照度|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第32回 作業場の照度

本連載第19回(2020年2号)で「事務所衛生基準規則」についてお話ししましたが、2021年にこの「事務所則」が一部改正されました。事務所則は労働安全衛生法第23条の規定に基づき、事務所の環境管理、清潔、休養、救急用具について定めた5章からなる短い厚生労働省令です。今回の改正では、「作業面の照度の基準」「便所の設備」「救急用具の内容」の3点が変更されましたが、今回は照度についてお話しします。

作業面の照度について、現行では「精密な作業:300ルクス以上」「普通の作業:150ルクス以上」「粗な作業:70ルクス以上」の3つの作業基準に分けられていましたが、改正後は「一般的な事務作用:300ルクス以上」「付随的な事務作業:150ルクス以上」の2つの基準になります。改正前までは普通の作業としていた作業場の最低基準が150ルクスから300ルクスに上がります。300ルクス以上あるかどうか、照度計での測定が必要になります。精密な作業を行う際には、JISZ9110「証明基準総則」を参照し、対応作業に合わせた照度を定めることとなっています。良好な照明環境は、グレアや光色、陰影など、照度だけでは決められないものもあります。2022年12月に施行になりますので、それまでに実際に職場巡視を行い、照度計で測定を行うだけでなく、目視でも照明環境を確認してみましょう。

ルクス
明るさの単位で、1平方メートルの面が1ルーメンの光束で一様に照らされるときの照度
グレア
不快感や見えづらさを生じさせるようなまぶしさ



本連載は『産業保健と看護』2022年14巻3号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。