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トップページ 産業保健と看護 第31回 救急用具|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第31回 救急用具

みなさんの職場には、救急用具が備わっていますか? 救急用具については、労働安全衛生規則第633条および事業所衛生基準規則第23条で設置が定められています。また、設置している場所や使用方法についても従業員に周知することが規定されています。衛生管理者や産業医による職場巡視の際にも、救急用具の場所や内容について確認されていることと思います。

この救急用具の内容ですが、安衛則第634条で「ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬」などを備えることと規定されていましたが、2021年12月1日の安衛則の改定の際に削除されました。削除した意図としては、「事業場において労働災害等により労働者が負傷し、又は疾病にり患した場合には、その場で応急手当を行うことよりも速やかに医療機関に搬送することが基本である」ということです。

その職場に適した救急用具を準備するためには、今まで発生した労働災害について検討することが必要です。また、速やかに医療機関に搬送するためにも、あらかじめ搬送するケースの洗い出しや、搬送する際に必要な事項やフローを確立する必要があります。今回の法改正を契機に、衛生委員会で労働災害や応急処置について検討してみてはいかがでしょう。

労働安全衛生規則
第六百三十三条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
2 事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない。



本連載は『産業保健と看護』2022年14巻2号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。