あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。
第29回 KYT(危険予知トレーニング)
「KYT」という言葉を見たことがありますか? 日本発祥の事故や災害を未然に防ぐためのトレーニングで、危険(K)・予知(Y)・トレーニング(T)の頭文字をとったものです。
このトレーニングでは、職場に潜んでいる危険を感じ取る(予知する)訓練をしていきますが、危険を回避できるだけでなく、最近ではより効率的な作業や快適な職場環境を作ることにも一役買っています。手順は、下記の4ラウンド法が標準的ですが、一人で行うこともできます。
・1ラウンド:現状把握/どんな危険が潜んでいるか
・2ラウンド:本質追究/これが危険のポイントだ
・3ラウンド:対策樹立/あなたならどうする
・4ラウンド:目標設定/私たちはこうする
職場全体で行う際には、みんなで本音で話し合い、他の人の意見を否定することなくすべてを受け入れる姿勢で臨み、最後に自分たちの目標を設定します。いろいろな意見を聞くことで職場全体の意識向上にもつながります。最後の締めくくりとして指差し呼称項目を設定し、みんなで指差し唱和をして、職場のモチベーションを高めていきましょう。
1 目で見て(視覚)
2 腕を伸ばし指でさして(動作)
3 口を開き声に出して「○○、ヨシ!」(発声)
4 耳で自分の声を聞く(聴覚)
これらの一連の動きにより、指差し呼称を行わなかった場合に比べて約6分の1事故を軽減したという報告があります
本連載は『産業保健と看護』2021年13巻6号に掲載したものを再掲載しております。
本連載へのご感想をお待ちしております。ご感想はこちら
◆著者プロフィール
勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)
平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。