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トップページ 産業保健と看護 第21回 医師による面接指導|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第21回 医師による面接指導

医師による面接指導は、2種類あるのをご存じでしょうか?一つは長時間労働者に対する面接指導、もう一つは高ストレス者に対する面接指導です。

長時間労働者に対する面接指導は、労働安全衛生法第66条の8に規定されています。2018年の働き方改革関連法案により、この面接指導の実施義務要件が、①時間外・休日労働が月80時間を超え疲労の蓄積が認められる者について申し出による場合、②研究開発業務に従事し時間外・休日労働が月100時間を超える場合、③労働時間規制が適用除外される高度プロフェッショナル制度適用者について健康管理時間が一定時間を超える場合に改正されました。

高ストレス者に対する面接指導は、労働安全衛生法第66条の10に規定されています。毎年行われるストレスチェックの結果、心理的負担など自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選び、面接指導を希望した場合に行います。

いずれの面接指導も、事業者は面談結果について、医師の意見を聞かなければなりません。医師の意見に基づいて事業者が実施すべき措置として、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などが挙げられます。また、面接指導の結果の記録についても5年間保存が義務付けられています。厚生労働省のホームページで、長時間労働者用、高ストレス者用、兼用の面接指導結果報告書が入手できますので、ご参照ください。



本連載は『産業保健と看護』2020年12巻4号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。