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トップページ 産業保健と看護 第18回 労働災害が発生したら|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第18回 労働災害が発生したら

みなさんの職場で、労働災害が起きたとき、対応に困ったことはありませんか? 今回のテーマは、労働災害が発生したときの対処についてです。

労働災害とは、労働者の業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡のことです。仕事中、もしくは通勤途中に事故に遭って怪我をした場合、その治療費は労災保険から支払われます。治療費というよりも、診察や治療などの療養を現物給付としてもらうことになります。通常の私傷病の治療とは異なり、健康保険証は使えません。誤って健康保険証を使いますと、後で健康保険への7割部分の返金や、労働基準監督署への費用請求の手続きなどに手間がかかりますので、注意が必要です。

労災指定病院などを受診した場合は、病院から労働基準監督署に治療費が請求されますので、負傷した方は支払いの必要がありません。一方、労災指定病院など以外を受診した場合は、治療費をいったん全額(10割)支払い、後で請求書を提出して返金してもらうという流れとなります。

労災保険は、すべての労働者の加入が義務付けられていますので、パートやアルバイトの方も、仕事中に怪我をした場合は、労災保険の給付対象になります

労働災害は、あるとき突然に起こります。普段から、全職員に労働災害が起きたときの対応を共有しましょう。

・労災発生時のフローを作りましょう
・労災発生時の状況を忘れずに記録しましょう
・事業所近くの労災指定病院をリストアップして周知しましょう


本連載は『産業保健と看護』2020年12巻1号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。