あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。
第16回 労働衛生教育
みなさん、突然ですが「労働衛生の5管理」を覚えていますか? 3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)に「総括管理」「労働衛生教育」を加えたものが、5管理です。今回はそのうちの1つである「労働衛生教育」についてのお話です。
労働安全衛生法には、労働災害を防止するうえで必要な知識を持ってもらうために、さまざまな時期、内容、対象者について安全衛生教育を行うことが明記されています(表)。
労働衛生教育の内容としては、当該業務に関して発生する恐れのある疾病の原因および予防に関することになりますが、有害・危険業務のない事務職などでは、労働衛生教育のテーマづくりに難儀しがちです。基本的には、健康診断の結果を集計し、目立つ異常項目を取り上げ(Plan)、その疾患の健康教育を行い(Do)、次年度の健康診断の結果を分析し(Check)、改善が見られたか確認する(Act)方法で、PDCAサイクルに沿った労働衛生教育を行うと効果的です。
また、労働安全衛生規則第35条には、実施すべき教育として
・整理、整頓及び清潔の保持に関すること
・事故時などにおける応急措置及び退避に関すること
が挙げられています。3S活動や、地震など災害時における防災訓練などについても、定期的に行ってはいかがでしょう。
本連載は『産業保健と看護』2019年11巻5号に掲載したものを再掲載しております。
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◆著者プロフィール
勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)
平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。