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トップページ 産業保健と看護 第6回 健康診断|そうだったのか! 今さら聞けない産業衛生のきほん

あなたの会社の産業衛生は法に則り、きちんと機能していますか? ルーチンを見直すための視点をベテラン産業医が解説します。

第6回 健康診断

皆さんの職場の健康診断受診率はどれぐらいでしょうか?未受診者の勧奨に手こずっている方も少なくないでしょう。

健康診断は事業所に実施義務がありますが、従業員にも受診の努力義務があります。よく「健康診断は福利厚生の一つであり、受診は個人の自由」と思われがちですが、それは違います。3管理のうちの1つである「健康管理」を行うために、健診には受診義務があるのです。

職場環境管理における環境測定が、健康管理における健康診断です。従業員の健康状態を健診で確認し、健康被害が生じていないか、通常勤務をさせても大丈夫かを確認するメディカルチェックを行う必要があります。

健康診断には、大きく分けて「一般健診」と「特殊健診」があります。一般健診のうちの「定期健診」は従業員全員が対象で、特殊健診は有害物を扱う作業に従事している従業員が対象となります。異動や、新しい作業が増えるたびに、各従業員の健診内容の確認が必要になりますから、健診対象者の選別は労務管理ともいえます。

法定健診の種類
■一般健診
(雇入れ健診、定期健診、特定従事者健診、海外派遣者健診、給食従業員の検便)
■特殊健診
(有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特定化学物質、電離放射線など)

また、深夜業務の従業員には「特定業務従事者健診」があります。これは、午後10時以降の時間帯に月4回以上シフト(法定労働時間)に入っている人が対象です。ですから、時間外労働で午後10時を過ぎても、対象にはなりません(この場合は長時間労働者として面接の対象になります)。

健康診断の意義についてよく説明し、ぜひ健康診断受診率100%を目指しましょう。



本連載は『産業保健と看護』2018年10巻1号に掲載したものを再掲載しております。

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◆著者プロフィール

勝木美佐子(株式会社産業医かつき虎ノ門事務所 所長)

平成5年日本大学医学部卒。平成8年より産業医業務開始。運送業、清掃業、製造業、地方公務員、病院、通信業、遊技業、アパレル業、IT業、ホテル業など多岐にわたる産業の産業医業務に従事。労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医。