NICUに入院する赤ちゃんの診療には、「助けたい」という個人の想いだけではなく、そこで働くスタッフの確保、医療機器、運営に掛かるコストが必要です。つまり「ヒト・モノ・カネ」に関わる制度をしっかり理解することが重要です。医学知識と違って、制度に対して苦手意識を持ったり、「私は知らなくていい」と考えていたりする人も多いのではないでしょうか。しかし、管理者だけではなく、全てのスタッフが制度を理解しようとすることが、充実した新生児医療を継続して提供するために不可欠だと思います。そして、入院中・退院後の赤ちゃんと家族を支えるための社会保障制度・地域の医療資源についても知らないと、適切なタイミングでの制度の紹介や提案ができずに、赤ちゃんと家族は必要な支援を受けられなくなります。結果として、医療者の無知が患者さんたちの不利益につながることになりかねません。
本特集では、赤ちゃんが生まれる前から、出生後の搬送、入院〜退院、そして退院後の在宅支援と、さまざまなフェーズごとに必要な制度についてまとめました。自信を持って家族に説明できるように、本特集を利用していただけるとうれしいです。
プランナー
はぐむのあかりクリニック 院長
荒木俊介
本記事は『with NEO』2023年4号特集扉からの再掲載です。