女性の寿命がどんどん長くなる中で、従来のように、更年期以降に尿もれや子宮下垂などの症状が顕在化してから骨盤底(ペリネ)*を意識するのでは、生活の質を保ちきれなくなるのではと危惧します。
女性の骨盤底にとって人生で最も大きなイベントは、「経腟分娩」と「産褥」と言って差し支えないと思います。ですが、今までの周産期医療では、分娩進行や分娩体位が骨盤底に与える影響について十分に意識できていなかったのが現実です。
本特集では、骨盤底の解剖、分娩時の骨盤底の生理学を深掘りし、多様な分娩体位、妊娠期・産褥期のケア、腰痛ケア、新生児の姿勢など、多くの周産期医療従事者がもう一歩深く妊産婦さんに寄り添えるよう、骨盤底ケアに関するエキスパートの執筆者陣が解説しています。
*骨盤底(ペリネ):骨盤底筋群は、腸骨、恥骨、尾骨および坐骨に付着し、骨盤内の臓器(膀胱・子宮・直腸など)を支える骨盤底筋の総称であり、骨盤底筋を有する部位(靱帯なども含む)を骨盤底(ペリネ)と呼ぶ。
プランナー
丸の内の森レディースクリニック
院長/医学博士
宋 美玄
本記事は『ペリネイタルケア』2023年3月号特集扉からの再掲載です。