筑波大学 医学医療系
看護理工学・ウィメンズヘルス看護学
教授/医学群看護学類 学類長
岡山久代
私が助産師の道を選んだきっかけは、学生時代に出会った一人の先輩助産師の姿でした。分娩室で女性と家族に寄り添いながら冷静に判断し、命を守るその姿に心を奪われ、「自分もこんなふうに、人の人生に深く関わる仕事がしたい」と強く思いました。あの日から、先輩に追いつけるように走り続けてきました。悔しさや不安に押しつぶされそうな日もありましたが、「失敗も成長の糧。学び続ければ必ず前に進める」という先輩の言葉が、今も心の支えになっています。
現在、教育と研究に携わる立場になりましたが、私の根底には常に助産実践があります。助産師教育も助産学研究も、現場での経験に根ざしてこそ意味を持つと考えています。教育では、現場で役立つ力を育むため、実践を重視した指導を心がけています。研究では、研究メンバーと共にエビデンスを創出し、より安全で質の高いケアを実現することを目指し、看護理工学研究に邁進しています。看護理工学は、看護の知と理工学の技術を融合させ、現場の課題を解決するための新しい価値を創造する分野です。具体的には、女性の健康を支えるためのデジタルヘルス技術の開発、フェムテック製品の設計、メンタルヘルスの可視化などに取り組んでいます。研究成果を臨床や社会に実装し、女性のライフステージに寄り添うケアを実現することが、私たちの挑戦です。
このような教育と研究活動の基盤になっているのが、2015年に取得したアドバンス助産師の認証です。私にとって、この認証は助産師としてのプライドであり、専門職として学び続ける覚悟の証です。2025年、無事に2回目の更新もできました。
今、助産師を目指す皆さんへ伝えたいこと。それは、苦しい経験にも意味があるということです。失敗や悩みは、必ずあなたを強くします。理想の姿を思い描き、一歩ずつ前進してください。助産師の仕事は、命と人生に寄り添う尊い営みです。初心を胸に、学び続け、共に未来を切り拓いていきましょう。
本記事は『ペリネイタルケア』2026年5月号の連載Rootsからの再掲載です。