管生聖子(大阪大学大学院人間科学研究科・Department of Experimental Psychology, the University of Oxford)
★動画の内容をご紹介します
なぜ今、CPRA®(Comprehensive scale for Parenting Resilience and Adaptation:子育て適応包括尺度)なのでしょう。
健診や相談の場で、このようなことはありませんか
1つめのケース
母子の様子を観察し、話を聞き、大きな問題はないことを確認します。
母親に少し疲れは見えますが、実母の手伝いも十分あるため、面接を終了します。
しかし、終了後に、「そういえば、夫はどんな様子なのだろう」「そういえば〇〇については聞いていなかったな」と気づく…。
2つめのケース
子どもの状態は良好。夫は育児を十分にしており、親の手伝いもある。
それでも「育児が思うようにいかず大変」という話が出てきます。こちらからアドバイスしてみるが、いまひとつ伝わらない感じがある。
次の母子も待っているため、緊急性はないと判断し、親子サークルなどを案内し面接を終了します。なんとなく伝わらなかった感じ、うまく相談に乗れなかった感じが残り、こちらも不全感を抱く…。
こういったことは、もしかすると、健診の経験が多ければ多いほどあるのではないかと思います。
もし事前にCPRA®があったら
では、もし事前にCPRA®を使い、CPRA®のデータがあったらどうでしょうか。
事前にCPRA®を実施していれば、このようにレーダーチャートとして結果が出てきます。相談者がどのような方か、どんな様子か、どんな状況か分かるようになっています。
1つめのケースの方のレーダーチャートです。パッと見ると、夫に関連する部分が出っ張っています。この出っ張っているところは、やはり気になるところです。CPRA®については別の動画(CPRAについて)でお話ししていますので、そちらをご覧いただけたらと思いますが、このCPRA®のレーダーチャートを見ていたら、夫については必ず聞くと思います。
聞き漏らしを減らすことができる
事前にCPRA®を見ていると、「そういえばあれを聞いていなかったな」「お母さんから話が全然出なかったけれど、どうだったんだろうか」といったことが減ります。こちらから「そういえば、これはどうなっていますか?」と聞きやすくなる、という点もあります。
2つめの事例から見えてくること
次は2つめの事例です。
このケースでは、7時あたりの部分が出っ張っています。この部分から、その方の認知傾向や、行動のベースになっている性質を見ることができます。
すると、この方の、同時全体処理の苦手さや、「こうしなければならない」「こういう形にはめたい」といったシステム化衝動がやや強い方であることが見えてきます。もしかすると、そうした部分が影響して、うまくいかず、自信をなくしてしまったり、「なんかうまくできない感じ」が強くなっている可能性を考えることができます。
支援やアドバイスの質を高めるために
こうしたことが分かっていると、どんなふうに伝えると、この方に伝わりやすいか、どのような提案であればこの方にとって受け入れやすいか、有用な提案になるかを考えた上で、アドバイスや支援を行うことができます。CPRA®を使うことで、包括的なアセスメントをした上で、その方にアドバイスをする、その方に合った支援の提供が可能になります。
CPRA®を用いると…
CPRA®を使うことで限られた時間の中で効率よく必要な情報を得るということがしやすくなります。もちろん全てがCPRA®で分かるわけではないので、CPRA®のチャートが出っ張っている項目や気になる部分をより深く掘り下げます。CPRA®の結果を見た上でどこをより丁寧に確認すれば良いか検討し、必要な支援につなげていくことができます。
また、支援者が経験的に感じている、「なんとなく気になる」「なんとなく、あれ?」といった感覚を、CPRA®と照合して可視化していくこともできます。それによって理解を深め、具体的な支援の検討に役立てていくことができるのではないかと思います。
すべての妊産婦を立体的に捉える
ハイリスクの方だけでなく、「なんとなくしんどそう」「なんとなく気になる」そういった方も含め、すべての妊産婦を立体的に捉え、しっかりサポートしていくことが必要です。CPRA®は、効率的で有益なコミュニケーションを促進するための一つの手段になると考えています。
動画では、「CPRA®を使ううえで心に留めておいて欲しいこと」も解説されています。ぜひ、ご覧ください。
(動画の長さ:約5分55秒)
このプロジェクトに関する詳細は、以下のWEBサイトをご参照ください。
★大阪大学生誕1000日見守り研究★ https://1000days.support/
◎CPRAについて◎ https://1000days.support/cpra
★★★
文部科学省Society5.0実現化研究拠点支援事業
大阪大学ライフデザイン・イノベーション研究拠点
保健・予防医療プロジェクト
生誕1000日見守り研究 2025年度活動報告
(研究代表者:遠藤誠之)