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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing 偶然のようで、必然でもある出会い|小谷友美|Roots|#025

浜松医科大学 産婦人科学講座 教授

小谷友美


 実習中の学生から「先生は学生のころから教授を目指していたのですか?」と問われた。私の答えは「いいえ」である。明確な将来像に向かって一直線に歩んだというより、無数の出会いの積み重ねが、いまの私をここへ連れてきたのである。出会いが偶然か必然かという判断はむずかしいところだ。けれども、同じ出会いでも影響を受ける人と受けない人がいることを思えば、変化を選び取ったこと自体は必然だったのではないかと感じている。

 初期研修病院は、当時の学生間の調整によって偶然に決まった。その病院での研修期間中に、産婦人科が県初の総合周産期母子医療センターの立ち上げ時期と重なり、活気ある現場に身を置いたことで、産科の道を選ぶ決断につながった。母体搬送への対応が続く日々のなかで、早産で生まれた子どもたちを目の当たりにし、機能的予後を少しでも良くしたいという思いが、私の専門の核となっていったように思う。

 やがて出身大学に新たな教授が就任し、教室づくりの時期と重なったことで、私に大学院進学の声がかかった。胎盤研究に携わるうちに実験の面白さに触れ、優れた指導者と仲間に出会った。自分自身の切迫早産の経験も相まって、復職後は超早産児の神経発達の研究に取り組み、若手とともに議論を重ねた。基礎研究者の協力もあり、超早産児の脳とミクログリアの関連を示す成果にもつながった。臨床・研究・教育を三位一体で担える大学という場に強い魅力を覚え、そこで働き続けたいという思いは確かなものとなっていった。

 もちろん、心が揺れることも何度もあった。現職への着任の際も、家族と離れて暮らすことを決断し、母の介護や父の急逝にも向き合った。そのたびに選択が最善であったかを自分に問いかけた。それでも「自分のやりたいことが、いま、できているか」を確かめ続け、その答えが“YES”であるかぎり、私の選択は正解であると考える。いま、また新しい現場での出会いに心がはずむ自分に気づかされる。周産期の現場でともに歩む仲間と出会い、学び、次の世代へ渡す。その連なりこそが、私がいまここにいる理由である。そして、この営みが次の出会いを生み、道を拓いていくのだと思う。



本記事は『ペリネイタルケア』2026年2月号の連載Rootsからの再掲載です。

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