ペリネイタルケア2018年新春増刊『帝王切開バイブル』は増刷を重ねる大ヒットとなりました。その刊行から8年が経過し、今回、最新情報を加えたパワーアップ改訂版として企画したのが本書です。
ハイリスク妊娠の増加と分娩数の減少により、帝王切開分娩率は年々増加し、現在は全分娩の約22%(一般病院29.1%、診療所15.3%)が帝王切開分娩です。また、周産期センターなどの施設では50%以上が帝王切開分娩というところもあります。そのため、周産期医療に関わるスタッフは、経腟分娩と同様に帝王切開分娩についての知識が今まで以上に求められています。助産師においても経腟分娩の直接介助のみでなく、帝王切開術の直接介助(器械出し)も含めて分娩介助として知っておく必要があるかもしれません。もはや、帝王切開分娩も普通の分娩方法の一つとして、私たち周産期医療に関わるスタッフは考えなければいけないかもしれません。帝王切開分娩の内容を理解することは、分娩管理の幅を広げる大切なことと考えます。基本的には経腟分娩も帝王切開分娩も分娩として変わることはありませんが、術前・術後の管理や、麻酔、疼痛管理、母乳育児など、帝王切開分娩ならではの対応も必要となります。これらの内容を医学的知識のみならず、看護の視点からも対応できるように本増刊を企画しました。特に、医療技術面では実際の写真や図を中心に分かりやすく解説しています。
本増刊では、選択的(予定)帝王切開術を中心に、手術の適応から、術前の確認事項、麻酔方法、術式、術中の器械出し、術後のアセスメントとケア、術後の合併症、母乳育児などについて、必要な知識や行うべき内容を時系列で網羅しています。また、前版に比しERASの考え方と実践、創部の管理・清潔管理、バースレビュー、メンタルヘルス支援などの項目も厚くしました。助産師・看護師、研修医のみならず、ベテランの医師にとっても知識の整理に役立つような一冊を目指しました。本書が帝王切開分娩に関わる医療スタッフ全てにとってのバイブルとなることを願っています。
編著
聖隷浜松病院 産婦人科・総合周産期母子医療センター 産科部長
村越 毅
本記事は『ペリネイタルケア』2026年新春増刊 序文からの再掲載です。