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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing わくわくを選んだ先がここだった|森實真由美|Roots|#023

美ら海ハシイ産婦人科 院長

森實真由美


 学生時代、実習が楽しかったこともあり、「手術もお産もあって、おもしろそうやん!」と、ほぼ直感で産婦人科を選びました。それ以来、一度も後悔したことはなく、どうやら私にとって産科医は天職のようです。

 前の職場の総合周産期母子医療センターには、周産期部門に手術部や救急部、放射線科を交えたチームで迅速に対応しなければならない症例が多数搬送されてきました。地域の最後の砦として、患者・医療者双方にとって安全かつ最善の医療を提供するためには、何をすべきかをずっと考えていました。

 そうした思いを抱きながら留学したピッツバーグ大学には、「WISER」という米国で最大級のシミュレーションセンターがありました。研究の合間に、チームシミュレーショントレーニングの手法を学び、帰国後はJ—MELS やPC3 などのトレーニングコースに関わってきました。これらの活動を通じて、全国のインストラクターや受講生と知り合い、互いの経験を共有することはとても楽しく、常に学びになっています。また、橋井康二先生(ハシイ産婦人科)とのご縁で、カンボジアにて現地の医療資源に応じた母体救命トレーニングコースを作るプロジェクトにも参加しました。さらに、「Safe Childbirth. Everytime. Everywhere(いつでもどこでも安全なお産を)」を目指して、アジア各国で産科急変対応コース(ICOE)を開催しているマレーシアのチームにも出会い、世界が大きく広がりました。

 ある日、橋井先生から、「森實先生、沖縄に行かへん?」と声をかけられました。長年、沖縄北部で分娩を担っていた先生がリタイアされることが決まったからです。「離島を含む広い医療圏で、高次施設と連携しながら安全なお産を提供するのは、なんだかやりがいがありそう!」と思い、これまた即決してしまいました。慣れてくると、さまざまな課題が見えてきました。沖縄には、若年妊婦が多いという現状があります。彼女たちが孤立しないように、未来が閉ざされないようにと、県から若年妊産婦の居場所支援事業を受託し、自立支援を行っています。赤ちゃんだけでなく、ママが育つことを応援できるのも、いいものだなと感じています。産科医として、新しい楽しみを見つけました。



本記事は『ペリネイタルケア』2025年12月号の連載Rootsからの再掲載です。

➡︎連載「姿勢と呼吸をととのえるガスケアプローチ」の動画はこちらから