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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing お産婆さんに憧れて|雑賀明美|Roots|#022

マミサポ 所長

雑賀明美


 助産師になったきっかけは、私の原点ともいえるお産婆さんへの憧れでした。私は自宅分娩で生まれました。母親の出産時、地域のお産婆さんが優しく寄り添い、自然な流れの中で新しい生命が誕生する瞬間をサポートしてくださったのだと、よく聞かされたものです。その話は私の心に深く刻まれ、いつの間にか人の生命のつながりの尊さを感じるようになりました。

 成人後、助産師の資格取得を目指して、専門学校で学びながら実習を重ねました。そして、憧れだった助産師になり、病院勤務する中で、助産師としての仕事は、ただ出産をサポートするだけではなく、妊婦さんやそのご家族に寄り添い、安心して出産できる環境をつくることだと実感するようになりました。とりわけ、自然分娩や自宅分娩の良さを伝えたいという思いがますます強くなっていきました。

 そうして、ついに自分の助産所『マミサポ』を開業しました。目指したのは、地域の方々がふらっと気軽に訪れることができ、日常会話の延長のようなかたちで、出産や育児について助産師やスタッフに相談できる場所です。『マミサポ』では、産後のママたちと継続的に関わることができるように、日帰り産後ケアのメニューに加えて、柔道整復師による「産後の整体」や地域のドゥーラさんと協働した「ドゥーラカフェ」も開催しています。妊婦さんだけでなく、そのご家族や地域の方々も巻き込み、皆で育児をサポートし合えるようなコミュニティづくりを心掛けています。孤立しがちな育児の負担を軽減し、笑顔の絶えない環境を今後も築いていきたいです。さらに、「育児応援団」としても、地域の方々と協力し、子育ての喜びや大変さを共有し合っていきたいと考えています。子育ては一人の努力だけでは続きません。みんなで支え合い、助け合うことで、より良い育児環境が生まれるのだと私は信じています。

 このような経験を通じて、私は自然な出産や地域のつながりの大切さを伝え、安心して子どもを育てられる社会を目指しています。私の助産師としての道は、幼い頃の憧れと地域の温かさに支えられてきたものであり、これからも多くの生命と向き合いながら、皆さまと共に歩んでいきたいです。



本記事は『ペリネイタルケア』2025年11月号の連載Rootsからの再掲載です。

➡︎連載「姿勢と呼吸をととのえるガスケアプローチ」の動画はこちらから