動画の内容をすこし紹介……
この動画は、陣痛発来のしくみについてその概略を説明するものです。
陣痛発来のしくみについて解説するために、以下の4項目について説明します。
1. 児頭下降と神経内分泌反射
2. オキシトシン受容体
3. 子宮収縮の同期性
4. 陣痛と脳内麻薬
これらについて順を追って、解説していきます。
児頭下降と神経内分泌反射
陣痛はまず児頭の下降から始まります。そして頸管の圧迫。さらに頸管の熟化それが陣痛の発来につながり、さらには陣痛増強。そして最終的に分娩に至るわけですが、これら一連のプロセスに神経内分泌反射はどのように関係してくるかを解説します。
陣痛に関わる3種類の神経
陣痛と神経内分泌反射の関係性を理解するためには、陣痛に関わる以下に述べる 3 種類の神経の解剖を理解する必要があります。
まず、胸髄の10番から腰髄のL1より出る下腹神経は子宮体部を支配しています。
次に仙髄の2番から4番より出る骨盤内臓神経は子宮頸部と腟上部を支配しています。最後に仙髄の2番から4番から出る陰部神経は骨盤底筋群と腟下部さらに外陰部を支配しています。
これら3種類の神経が陣痛の知覚と運動に関与しているわけです。
児頭の下降と子宮頸部に接続する神経の興奮は、どのような関係性にあるのでしょうか?
妊娠満期に入ると、児頭の骨盤内下降とともに子宮底も同じように下降していきます。妊娠中期には児頭は骨盤内にまだ下降しておらず浮動した状態となっており、子宮頸部に接続する骨盤内臓神経も刺激は受けていません。児頭の骨盤内進入は分娩直前には児頭の嵌入した状態となり、その児頭の下降により、子宮頸部が圧迫され、骨盤内臓神経も刺激を受けることになります。
妊娠後期に入り、児頭は骨盤内に下降し、それにより頸管は圧迫され、その信号は骨盤内臓神経を介し、脊髄後根から大脳へと送られます。
大脳の中の視床下部には室傍核と視索上核と呼ばれる神経核があり、それに属する神経細胞がオキシトシンを産生するのです。産生されたオキシトシンは脳下垂体後葉から血中に放出され、全身へと輸送されます。血液により全身に輸送されたオキシトシンはオキシトシン受容体のある子宮の収縮を促します。子宮の収縮により、児頭はさらに骨盤内へと押し込まれていくわけです。この児頭の下降は子宮頸管の熟化を促し、この熟化はさらに児頭を骨盤内へと誘導していくわけです。
これら一連の児頭の下降による神経を介したオキシトシン産生のメカニズムが、神経内分泌反射と呼ばれています。
オキシトシン受容体の増加
一般的にホルモンが生体において、その生理作用を発揮するためには受容体の存在が必須です。このため、たとえオキシトシンが生体内に増加したとしても、子宮筋層の中のオキシトシン受容体が増加しなければ陣痛は起こりません。
妊娠中には次の2つの要因によりオキシトシン受容体は増加します。1つは、胎盤のエストロゲン産生の増加です。もう1つは子宮の増大による子宮壁の伸張です。この2つの要因により、子宮筋の中のオキシトシン受容体は増加していくことになるのです。
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