助産学生の皆さん、日々の実習おつかれさまです。実習生活はいかがでしょうか?
私も学生のころ、分娩やオンコールの緊張で眠れなかったり、記録や指導案の作成に追われて涙が出そうになったことがたくさんありました。助産師に近づいているといううれしさだけでなく、つらいこともたくさんありますよね。
今回は、実習でつらいと感じたときのメンタルケアの方法や、自分の心をどう守るかについてお伝えします。
【「つらい」と感じていい、吐き出していい】
助産実習は命に関わる現場です。知識も技術も未熟な学生としての立場と、実際に分娩に携わり母子2人の命を守らないといけない責任感のある立場に、大きく心が揺れ動きます。
「私だけつらいのかな」「みんな頑張ってるのに……」と思うかもしれませんが、つらいと感じるのは当たり前のことです。
私は、学年の中で選抜試験に受かった4人しか助産学を専攻することができなかったため、周りに実習のつらさを吐き出すこともためらっていました。
でも自分を責める必要も、我慢をする必要もありません。今はそういう時期なんだと受け止めてあげましょう。
【つらい気持ちを書き出して整理する】
もやもやや不安が頭の中で渦巻いていると、余計に疲れてしまいます。考え込みすぎてしまうと、せっかくの休日も心が休まらなくなったり、眠れなくなってしまいます。
●今日一番つらかったこと
●頑張れたこと、できたこと
●明日への課題
5分だけ時間をとりこれをノートやスマホに書き出すと、自分の気持ちを整理することができます。自分の気持ちが客観的に見えることで少し楽になります。
【信頼できる人に話す】
同じ学生仲間や、学校の先生、実習指導者に話すことはとても大切です。先生や指導者には「話しにくい」「迷惑かな」と思うかもしれませんが、話すことで初めて伝わることがあります。学生のうちから「人に頼る力」を育てることも大切です。
それでもやっぱり話しにくいという場合には、家族や友人など実習には携わっていない第3者に話してみることもおすすめです。全く違う立場や視点から話を聞いてもらうことで、考え方が変わったり、気持ちが楽になったりすることがあります。

【小さなリセット時間を持つ】
毎日長時間の実習と記録ばかりで休む暇もないと感じますよね。やるべきことが終わったらひとまず寝る、そのような生活に追われていませんか。でも、ほんの数分のリセットが心を守ってくれます。
●温かい紅茶やコーヒーをゆっくり飲む
●好きな音楽を聴く
●香り(アロマやお気に入りのハンドクリーム)を楽しむ
●ストレッチやヨガをする
「たったこれだけ?」と思うかもしれませんが、自分の好きなことを行うと短い時間でも心がスッと軽くなります。
【比べすぎない】
「同期の子はできているのに、自分はダメだ」と落ち込むことも多いでしょう。特に分娩件数は、客観的な数字で見えてしまうため、比較して焦ってしまうこともありますよね。
しかし、実習は人と比べる場ではなく、自分の成長を積み重ねる場です。また、分娩もご縁があってこそ経験させていただけるものです。焦りや不安は必要ありません。前回の自分、昨日の自分より1つでもできることが増えていたら、それは立派な成長です。
【実習以外の「好きな自分」を大事にする】
実習だけに心が支配されると、つらさだけが大きくなって自分が嫌になることもあるかと思います。オフの日は実習や勉強をいったん忘れて、好きなことをしましょう。
●好きなカフェに行く
●好きなドラマや映画を見る
●ゆっくり入浴する
●家族や友人と会う
オン・オフをしっかりと切り替えて「助産学生の自分」以外のアイデンティティーを大切にしましょう。そうすることが、長く学び続ける力になります。
私は実習先の2施設とも泊まり込みだったので、休日は実家に帰省して家族に会うだけでもキリキリとした緊張感から解放されていました。
【それでもつらいときは……】
理由もなく涙が止まらない、眠れない、ご飯が食べられない……。そのようなときは、心が限界を知らせてくれているサインです。学校の先生や心療内科に相談したり、カウンセリングを受けてみたりしましょう。無理を続ける必要はありません。
助産実習は、母子の生命に直接関わるため、厳しく心が折れそうになることもあります。しかし、その経験が確実に将来の母子や家族を支える力になっていきます。1人で抱え込まず、自分の心を守りながら、一歩ずつ歩んでいってください。
私も6年前は同じように悩み苦しんでいた学生の1人です。当時は先が見えない毎日がつらくしんどい日々を過ごしていました。でも周りの力を借りながら実習を乗り越えることができました。 あなたもきっと乗り越えられます。一緒に働けることを楽しみに応援しています。
❤ペリプリ(Perinatal Care プリセプターズ)メンバー
chiroru/助産師
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