はじめに
本連載の最後に、がんばりっこ家族の「“本当”の声」をお届けしたいと思います。アンケートには約100名のがんばりっこ家族が協力してくれました。
NICUやGCUに入院していた時、退院前の不安、そしてその後の暮らし――その全てに医療者との関わりが深く関わっていることが見えてきました。
NICU・GCUに入院中のこと
「面会に行けなかった日の写真やメモを残してくれたことが一番うれしかった」。そんな声が一番多く集まりました。
次に多かったのは、「一緒に喜んでくれたこと」。NICUという特殊な環境の中で、わが子の変化や頑張りをほかの誰かと共有できる――そのことが親にとっては大きな力になります。
反対に「つらかったこと」で多く寄せられたのは、母乳に関することでした。ほかの赤ちゃんが並ぶ授乳室で搾乳することや届ける際の何気ないやり取り、母乳が出ないことへの焦り、逆に、母乳が出るのに飲ませられない苦しさ。母親としての痛みや戸惑いは、今も深く心に残っている人が少なくありませんでした。
退院準備のこと
「やっと一緒に暮らせる!」という喜びと、「本当に大丈夫かな……」という不安。その両方を抱えながら、退院の準備を進めていたという声が多く寄せられました。長い入院生活を経て、わが子を家に迎えられることに大きな喜びを感じる一方で、「医療的ケアをちゃんとできるのか」「急変したら間に合うかどうか」「家では全部自分でやらなきゃいけない」という現実に押し潰されそうだったという声が聞こえてきました。
退院に向けて、沐浴や授乳、医療ケアの指導を受け、少しずつ自宅での生活に備える中、「やっと帰れる!」という気持ちが日に日に大きくなっていく一方で、「この手で守っていけるのか」というプレッシャーと向き合っていた親が多かったです。
退院後のこと
NICUを出た後も家族は「はじめて」の連続です。医療的ケアがあったり、障害が残ったり、地域によっては受けられる支援が全く違うという声も少なくありません。 「もっと早く動いていればよかった」「こんな制度があったなんて知らなかった」――そんな後悔を減らすには、病院と地域、医療と福祉、そして教育が、もっと自然につながっている必要があります。支援の橋渡しがスムーズにできれば、どんな出産も少しずつ、怖くなくなるのかもしれません。
おわりに
NICUを卒業したその先に、どんな毎日が待っているのか。それを知ることで、不安が安心に変わることもあります。
だから私たちはこれからも、「がんばりっこ家族」としての今を伝え続けたいと思います。家族が家族らしく生きていけるように。一緒に目の前の壁をドアに変えていきましょう。
Take home message
最後に、ちょっとひとこと。「ちょっと重いな……」って思ったそこのあなた。大丈夫。一人で考えなくていいんです。一緒に考えればいいんだから。
今日も、自分のことも大切にしてくださいね。
※本記事の写真は許可を得て掲載しています。