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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing 母子のための地域包括ケア病棟|福井トシ子|Roots|#017

国際医療福祉大学大学院 教授 副大学院長/ 公益社団法人 日本看護協会 前会長

福井トシ子


 Roots連載の節目となる100回目に書かせていただけますこと、大変光栄です。100回目ですと、この連載がはじまって8年経過しているということでしょうか。

 私自身の話はあちこちでお話ししており、もういいかなと思い、今号では、『母子のための地域包括ケア病棟』を紹介します。日本看護協会では、すべての妊産婦と新生児に助産師のケアを提供するため、『母子のための地域包括ケア病棟』を提唱し、推進を図っています。『母子のための地域包括ケア病棟』は、“院内助産・助産師外来”“産科混合病棟における産科ユニットマネジメント”“医療機関における産後ケア事業”“地域連携”の4機能を備える病棟です。この病棟は、医療機関と地域が一体となって妊産婦のケアと子育て支援を行う仕組みです。4つの機能を一体的に提供することで、妊娠・分娩・産褥期における助産師によるケアの連続性、支援の場の確保、ケア機能の強化を図り、妊産婦に切れ目のない支援を提供することができます。

 わが国では、妊娠~産後に助産師と出会います。支援が必要な母子に対し、分娩取扱施設の助産師が、医療と行政の保健・福祉の連携・仲介の役割を発揮できる体制を整備することで、家族には「妊娠期から関係性があり、知っている助産師にならささいなことでも相談できる」と思ってもらえます。助産師は「継続して関わっているからこそ気づける妊産婦の変化」を適切な支援につなげることができます。

 この『母子のための地域包括ケア病棟』は、情報を中心とした引き継ぎだけでなく、助産師による連携(つなぐ機能を発揮し、母子や家族が地域へ移行したことを見届ける、支援が必要な母子・家族には助産師による継続した外来での支援や電話相談、産後ケアなど)も併用した重層的な支援体制を実装することになります。

 このように、すべての母子・家族が個々の環境や状況に応じた形・時期に重層的に支援され、居住地域へ安心して移行していけるような体制こそ、『母子のための地域包括ケア病棟』が掲げる“地域連携”です。助産師の総力戦で、妊産婦とご家族、地域における子育て支援をしようではありませんか。



本記事は『ペリネイタルケア』2025年6月号の連載Rootsからの再掲載です。

➡︎分娩管理における心構えの資料/連載「姿勢と呼吸をととのえるガスケアプローチ」の動画はこちらから