矢野邦夫先生に「2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチンの有効性」についてご執筆いただきましたので、掲載いたします。
*INFECTION CONTROL34巻6月号の掲載の先行公開記事となります。
「2024—2025年シーズンの COVID-19ワクチンの有効性」
CDC が2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチンの救急受診および入院に対する有効性を分析しているので紹介する[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/pdfs/mm7406a1-H.pdf]。
分析
この分析で使用されたデータは、VISION(米国内の8つの州にある373の救急外来/緊急治療センターと241の病院を含む、電子医療記録に基づいた多施設ネットワーク)とIVY(米国内の20の州にある26の病院からなる入院患者ネットワークであり、COVID-19様疾患に罹患した成人を対象としている)がCOVID-19ワクチンの有効性を分析するために収集したものである。ワクチン有効性は、検査陰性デザインを用いて、症例患者(SARS-CoV-2陽性)と対照患者(SARS-CoV-2陰性)を比較した。
変異株およびCOVID-19ワクチン
2024年9月1日~12月31日に収集されたSARSCoV-2陽性検体では、JN.1が8.4%、KP.2が14.1%、KP.3が52.1%、XEC が19.3%であった。2025年1月以降、LP.8.1(JN.1およびKP.1.1の子孫)が増加し始めた。本研究で評価されたワクチンは、オミクロンJN.1およびJN.1由来の系統に対して設計された単価ワクチンである。
結果
COVID-19関連救急受診(18歳以上)
18歳以上の成人(VISIONネットワーク)のうち、137,543人の救急受診が分析対象基準を満たしており、そのうち10,459人(8%)が症例患者、127,084人(92%)が対照患者であった。2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチン接種によるCOVID-19関連の救急受診に対する有効性は、ワクチン接種後最初の7~119日間で33%(95%信頼区間[CI]=28~38%)であった。ワクチン接種後最初の7~59日間では36%(95%CI=29~42%)、ワクチン接種後60~119日間では30%(95%CI=22~37%)であった。
COVID-19関連入院(65歳以上)
免疫不全状態のない65歳以上の成人(VISIONネットワーク)のうち、26,219人の入院が分析対象基準を満たし、そのうち2,248人(9%)が症例患者、23,971人(91%) が対照患者であった。2024~25年のCOVID-19ワクチン接種によるCOVID-19関連入院に対する有効性は45%(95%CI=36~53%)で、2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチン接種からの平均日数は53日であった。
免疫不全状態の65歳以上の成人(VISIONネットワーク)のうち、8,192人の入院が分析対象基準を満たし、そのうち598人(7%)が症例患者、7,594人(93%)が対照患者であった。COVID-19関連入院に対する有効性は40%(95%CI=21~54%) であり、2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチン接種からの日数は53日(中央値)であった。
免疫不全状態のない65歳以上の成人(IVYネットワーク)のうち、1,929人が分析対象基準を満たし、そのうち683人(35%)が症例患者、1,246人(65%)が対照患者であった。COVID-19関連入院に対する有効性は46%(95%CI=26~60%)で、2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチン接種からの日数は60日(中央値)であった。
結論
これらの結果は、2024—2025年シーズンのCOVID-19ワクチンは、ワクチンを接種していない場合と比較して、COVID-19関連の救急受診および入院に対する追加の保護を提供することを示している。すべての6ヵ月以上の人が2024—2025年シーズンCOVID-19ワクチンを接種すべきであるという、現在のCDCの推奨を支持している。

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*INFECTION CONTROL34巻6月号の掲載の先行公開記事となります。
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