はじめに
第1回目では、がんばりっこ(未熟児・病児・障害児・お空っこ)の「集い」や「高尾山登山」についてお伝えしました。がんばりっこでは、専門職や行政と連携しながら、支援の輪を広げる活動を続けています。その一環として、2024年に「みんこど妖怪写真展」を全国7カ所で開催しました。
みんこど妖怪写真展
「みんこど」は、「みんなこども!」の略で、2023年に発足したこども家庭庁の「こども」のなかに、がんばりっこも含まれていることを広める目的の写真展です。がんばりっこの日常の写真と、親なら誰もが経験しそうな「妖怪名」を組み合わせることで、共感を呼び、大人同士の連帯につなげたいと考えました。がんばりっこ親も、ただの親。日々のあれこれを「妖怪〇〇」に例えることで、イライラもクスッと笑いに変わり、自分のクセや悩みを話しやすくなります。そんな思いから、妖怪写真展が生まれました。
会場には、家族が撮影した20枚のリアルな日常写真を展示しました。いわゆる記念写真のようなにっこりしたものではなく、家族が撮った自然な姿ばかりの何気ない一瞬が収められています。笑顔の写真だけでは伝わらない、がんばりっこたちの等身大の姿がそこにあります。写真の横には、SNS風のパネルに妖怪名と説明を添え、訪れた方が共感メッセージをふせんで書き込める仕組みにしました。
「妖怪ハヤクシテ」には、「分かります!何もないのに焦ってしまう」、「めんどくさがり~ぬ」には、「子どもには早めに!と言うのに自分はギリギリ」、「妖怪静寂恐怖」には、「静か過ぎるとラクガキ・ティッシュぶちまけの予感」、「妖怪人の目気にし過ぎ」には、「表に出るといつも困ったことをしてしまい、謝ってばかり。もっとおおらかでもよかったのかな」、「妖怪いきいそぎ」には「気になることをやっている時間、数秒なのに長く感じてしまうんですよね」など、共感の声があふれました。
メッセージを書かなくても、「いいね」シールを貼る方も多く、子どもから高齢の方まで幅広い方々が参加してくださいました。東京・神奈川・熊本・大阪では、写真展に合わせてがんばりっこの集いも開催し、がんばりっこの写真のパワーに守られながら、ゆったりおしゃべりを楽しみました。
おわりに
がんばりっこの親は、決して特別な存在ではありません。本稿を読んでいる医療関係者のみなさんと同じ、社会の中でともに生きる存在です。がんばりっこたちは、地域の中で一緒に成長し、喜び、悩みながら生きています。どの家庭にもある日常の一コマが、そんな当たり前のことをあらためて感じてもらうきっかけになればと願っています。
Take home message
「妖怪〇〇」なんてふざけながらも、がんばりっこ家族は、みんなと同じように毎日を積み重ねています。医療の現場で支えてくれる皆さんがいるからこそ、こうして笑いにできるんです。
※本記事の写真はご家族の許可を得て掲載しています。