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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing 支援の輪を広げていくために|林 英美子|こっそりお話しします。正直な気持ち~がんばりっこの活動を通じて~|#001

はじめに

 2004年、私は妊娠22週で542gの息子を出産しました。その経験をきっかけに、「未熟児・病児・障害児親と応援団の広場 がんばりっこ仲間」というコミュニティを立ち上げました。それから20年、たくさんの仲間とつながりながら活動を続け、2022年には一般社団法人 未熟児家族支援・がんばりっこを設立しました。

 「がんばりっこ」は私の造語で、未熟児・病児・障害児、そしてお空へ旅立った子どもたち(お空っこ)を指します。現在、約2,000名の家族が登録し、「がんばりっこ応援団」には医療従事者や専門職の方々をはじめ、活動に関心を持ち応援してくださる方々が約250名参加しています。

集 い

 私たちの活動の中心は「集い」です。各地でがんばりっこ家族が集まり、情報を共有し合う場を提供しています。コロナ禍以降はオンライン開催もスタートし、園や小学校での生活やきょうだいのことから、仕事と子育ての両立や家族計画、シングルの集い、医療的ケア児&肢体不自由児の集いなど、より細分化されたテーマで、参加者一人ひとりに寄り添った対話の機会が増えました。

高尾山登山

 また、「高尾山登山」も重要な活動のひとつです。これは「家族だけでは難しいことへのチャレンジ」という趣旨で行っています。それまで親が「無理だ」と思っていた登山に挑戦し、頂上に立った子どもたちは、自信に満ちた表情に変わります。その姿を見て、大人たちも新たな一歩を踏み出す勇気が出ます。これは、災害時の避難意欲の向上にもつながります。がんばりっこ家族同士が自然の中でリフレッシュし、応援団とも直接交流できる機会となっています。

トークセッション、応援団の集い

 さらに、「トークセッション」では、がんばりっこ家族が過去の経験を語り、家族支援や退院後の子育てについてNICU関係者と一緒に考える場を設けています。「応援団の集い」では、全国の医療・福祉・教育の専門職がオンラインで意見交換し、地域を超えたネットワークを築いています。

おわりに

  NICUでの手厚いケアから一転、退院後は親が育児の全てを担う現実に、不安や孤独を感じる家族は少なくありません。私自身も20年前に同じ思いを経験しました。その一方で、「支えたいけど、どうすればいいのか分からない」という支援者の声も多く耳にします。こうした双方の想いをつなげるために、がんばりっこ家族と支援者が協力し、お互いにとってのより良い環境を作ることを目指しています。単なる親の交流の場にとどまらず、SNSやホームページなどを通じた情報提供も行いながら、医療・福祉・教育などの専門職や行政に関わる方々と連携し、支援の輪を広げていくことを大事にしながら活動しています。 


 Take home message

 そのコミュニケーション、本当に家族が望んでいますか? 専門職同士なら当たり前と思っていることで、普通に考えたら想像できる単純な思いに気付けないことはありませんか? とはいえ、100点満点のコミュニケーションなんて無理ですから、モヤモヤしたりガッカリしたりした時には、がんばりっこの集いのような場で吐き出すことも大事です!


※本記事の写真はご家族の許可を得て掲載しています。