1978年に世界初の体外受精児が誕生してから、半世紀が経過しつつあります。わが国でも2022年の出生児10人に1人は体外受精で生まれており、不妊治療は広く認知され、普及した治療となりました。少子化が進むわが国において、状況に歯止めをかけるべく国策として2022年4月より不妊治療が保険適用となり、体外受精児の出生は今後、さらに増加することが確実視されています。助産師の皆さんにとっても、不妊治療を経て妊娠した妊婦と接する機会は、もはや日常となり、特別なことではなくなってきていることでしょう。
本特集では、不妊治療の概要から各論までを、各分野のエキスパートの先生方にご執筆をお願いしました。どのような検査・治療を経て妊娠に至ったのかを把握しておくことは、妊婦と接する上での一助となり、不妊治療による妊娠で起こり得る、自然妊娠とは異なる留意点を熟知しておくことは重要だと思います。
また、昨今注目されているプレコンセプションケアやインターコンセプションケアについても解説をいただいており、その内容は不妊治療の枠組みを超えて、産後ケアを終える際の褥婦への最後の情報提供に役立つことでしょう。さらに、母性に関わる医療従事者として知っておきたい最新知識として、着床前診断や出生前診断、また、未婚女性のための卵子凍結についても解説いただきました。
ぜひこの機会に、不妊治療への理解をさらに深めていただければ幸いです。
プランナー
加藤レディスクリニック 診療部長
福田淳一郎
本記事は『ペリネイタルケア』2025年2月号特集扉からの再掲載です。