★Close Collaboration with Parentsの履修の成功に必要なこと、今後の展望
ファミリーセンタードケアおよびClose Collaboration with Parents(CC)トレーニングについて紹介してきた本連載も、今回が最終回です。動画では長野県立こども病院NICUでのインタビューを通して、CCトレーニングの履修を成功させ、その効果を最大限に得るためにNICUとしてできることについて紹介しています。
★本文記事をすこし紹介
はじめに
前回は、Close Collaboration with Parents(CC)トレーニングの履修が進んでいる長野県立こども病院NICUで、今、まさにどのような変化が起こっているのかについてお伝えしました。トレーニングがNICU全体のケアに影響を与えるのには時間がかかるので、その効果を履修の途中に感じることが難しいのは仕方がないことです。それでも、小さな変化が少しずつ見られていることを理解していただけたのではないでしょうか。
本連載は今回が最終回となります。CCトレーニングが赤ちゃんと家族に良い効果を与えるメカニズムや、履修を成功させ、その効果を最大限に得るためにNICUとしてできることについて、皆さんと一緒に考えたいと思います。
CCトレーニングの効果のメカニズム
ファミリーセンタードケアの最終目標は何でしょう? さまざまな意見があると思いますが、私は赤ちゃんと家族の予後を改善することだと思っています。特に、赤ちゃんの長期にわたる成長や発達の促進、QOLの向上は、ファミリーセンタードケアに限らず、あらゆる新生児期医療の目標だと思います。
しかし、ファミリーセンタードケアの介入、例えばCCトレーニングが赤ちゃんと家族の予後を改善するプロセスは、とても複雑です。
(中略)
まず、トレーニングを受けた医療スタッフの行動変容を促し、そのスタッフの変化が家族の行動に影響します。この家族の行動変容が、赤ちゃんの短期予後、そして長期予後を改善すると考えています。例えば、CCトレーニングによって、家族が赤ちゃんの行動に興味を持つような声掛けを医療者が行うようになれば、家族はより個別性の高いケアを赤ちゃんに提供できるようになります。いくつかの介入研究で、家族が赤ちゃんの観察を基にした個別ケアを行うことは、赤ちゃんの長期的な神経発達予後を改善することが示されています1〜4)。 また、家族の行動変容あるいは赤ちゃんの予後改善は、家族の予後も改善します。医療スタッフの行動変容、赤ちゃんや家族の予後改善は、医療スタッフ自身の予後も改善するかもしれません。
この続きは『with NEO』2024年6号をご覧ください!
〜本誌では以下の内容が読めます〜
・CCトレーニングの実施忠実度
(fidelity)
・トレーニングを円滑に進めるために
必要なこと
・CCトレーニングの日本での展望
2)Nordhov, SM. et al. Early intervention improves cognitive outcomes for preterm infants:randomized controlled trial. Pediatrics. 126(5), 2010, e1088-94.
3)Welch, MG. et al. Family Nurture Intervention in the Neonatal Intensive Care Unit improves socialrelatedness, attention, and neurodevelopment of preterm infants at 18 months in a randomized controlled trial. J Child Psychol Psychiatry. 56(11), 2015, 1202-11.
4)McManus, BM. et al. The effects of the Newborn Behavioral Observations( NBO) system in early intervention:A multisite randomized controlled trial. Infant Ment Health J. 41(6), 2020, 757-69.