わが国における出生数は年々減少していますが、高年妊娠による産科合併症の増加や妊娠分娩経過の複雑化、または無痛分娩などの需要の高まりから医療介入が増えることにより、周産期医療に携わる者にはこれまでより一層高度な分娩管理が求められています。
一方で、経験できる症例数が減少しているため、聞いたことがあったり知識として知ったりしていても、実際に経験したことがない異常分娩の状況も数多くあることと思います。
そこで本特集では“進まないお産、安心できないお産”をテーマにして、第一線で活躍されている医師や助産師に執筆を依頼し、具体的な事例の紹介などを通じて、どのように考えどのように対処すればよいかを、写真やイラストなどのビジュアルを多く用いることで、病態や手技がスムーズに理解できるよう構成しました。
母児双方の健康と安全を預かる周産期医療スタッフの緊張は計り知れません。遭遇したことのない難しい判断を必要とする状況や、よく遭遇する状況だけれども判断に迷うような場合でも、母児に寄り添いながら的確に対処できるよう、本特集を通じて理解を深めることで助産ケアの質を向上させることを目指します。
母児やその家族にとって安心できる安全な分娩のために、本書が読者の皆さまの今後の助産ケアに役立つことを願っております。
プランナー
山王病院 副院長、女性医療センター産科・婦人科部門 部長
国際医療福祉大学臨床医学研究センター 准教授
中山敏男
本記事は『ペリネイタルケア』2024年10月号特集扉からの再掲載です。