★Close Collaboration with Parentsトレーニング履修状況とNICUの変化
動画では、2023年11月からClose Collaboration with Parentsトレーニングを取り入れている長野県立こども病院NICUのトレーニングの実際や、それを受けてNICUで起こっている変化について紹介しています。
★本文記事をすこし紹介
はじめに
Moi(モイ)! フィンランドの糸島です。前回までの複数回にわたって、Close Collaboration with Parentsの実際のトレーニング内容を紹介しました。実際の赤ちゃんやその家族とのベッドサイドトレーニング、およびその振り返りを通して、トレーニングを受けるメンターはさまざまな学びを得られます。紙面の都合で、赤ちゃんの行動観察を行うフェーズⅠや、家族背景を理解するフェーズⅢを紹介できなかったのは残念ですが、それらもとても大切なトレーニングです。それらも含めたClose Collaboration with Parentsトレーニングの全てのフェーズを通して、ファミリーセンタードケアのさまざまな側面を学ぶことができます。
長野県立こども病院NICU では、2023年11月からClose Collaboration with Parentsのスタッフトレーニングをスタートしています。まだNICU としての履修は始まったばかりですが、トレーニングを受けたスタッフを中心に、NICUの文化は徐々に変化してきているようです。今回は、トレーニングに中心的に関わっているメンターから、Close Collaboration with Parentsトレーニングの実際や、それを受けてNICUで起こっている変化について聞いてみました。なお、トレーニングの進み具合や病棟の変化は、本稿執筆時点(2024年7月中旬)の状況です。
(中略)
病棟の変化
実際に目に見えた変化が感じられるのは、過半数のスタッフがトレーニングを履修してからといわれています。ここまでに長野県立こども病院でトレーニングを開始したスタッフは約半数、修了したのは20%程度であり、まだ大きな変化はみられないとしても不思議ではありません。しかし、小さな変化は少しずつ起こっているように感じられます。
赤ちゃんを行動観察する家族の能力
複数のメンターやスタッフから挙がっていたのは、「赤ちゃんの行動を観察する家族の能力が以前より上がっている」あるいは「赤ちゃんの観察に長けた家族が増えている」ということです。他の病棟から異動したスタッフから、NICU卒業生の家族が以前と比べて変わったという声も聞かれています。
家族に対するスタッフのコミュニケーション
同時に、トレーニングを受けたスタッフを中心に、「以前より家族に意見を求めるようにコミュニケーションが変化している」という意見もありました。長らくNICUに勤務する看護師長は、「家族の意見を聞くスタッフの能力が以前より向上している」と感じています。スタッフがトレーニングを通じて、家族の声を聞くことの大切さを実感し、それを行動に移し、結果として家族の観察力を育てているのでしょう。メンターの一人は、Close Collaboration with Parents を通じて、医療者が推察する家族の考えが、実際の家族の考えと違うことが多いことに気が付いたと言います。家族とコミュニケーションを密にとり、家族の声を聞き出すことは、医療者と家族の間での意見の相違を減らし、信頼関係を作ることにつながります。
この続きは『with NEO』2024年5号をご覧ください!
〜本誌では以下の内容が読めます〜
・履修のスケジュール
・履修の進捗状況
・トレーニングの苦労
・おわりに
- 第1特集「新生児の消化器症状アセスメント」では、現場でよく遭遇する症状から緊急対応が必要か、経過観察でよいのかをチャートでぱっとみて理解できるような構成です。外科的な内容が多い消化器疾患について学べる特集です。
- 第2特集「低出生体重児の皮膚ケア」では、以前ご好評いただいたNICUでよく使うテープや保護剤一覧表のアップデート版がついております! 今回もたくさんダウンロードしてご活用いただければ嬉しいです♪
- 特集の他にも、取材記事2本立てなどボリュームたっぷりな1冊です。ぜひご覧ください!