★Close Collaboration with ParentsトレーニングのフェーズⅣ-②
動画では、家族が自信を持って、退院する赤ちゃんを迎えるための「退院準備」について、どのように支援すれば家族に沿った退院準備が進められるのか紹介しています。
★本文記事をすこし紹介
はじめに
Moi(モイ)! フィンランドの糸島です。前回は、Close Collaboration with ParentsトレーニングのフェーズⅣ「医師回診への家族の参加」を紹介しました。家族の回診参加を有意義にするためには、環境の整備やスタッフのコミュニケーション能力の向上など、さまざまな障壁がありますが、同時に家族・医療者の双方に多くのメリットがあることを知っていただけたと思います。特に、NICU 入院中からわが子のことを知り、意思決定に関わることは、家族が自信を持って、退院する赤ちゃんを迎えるために必要なことでしょう。
フェーズⅣのもう一つのトレーニングは、NICU からの退院がテーマです。家族にとって退院とは何か、家族が自信を持って、退院する赤ちゃんを迎えるために必要なことは何かを、家族とのディスカッションを通じて知ることが目的です。
退院の準備と退院基準
赤ちゃんが医療者の手を離れて安全にNICU から退院するためには、さまざまな準備が必要です。
(中略)
北欧諸国の研究では、NICUの約半数が早産児の退院基準をガイドラインとして定めていました1)。しかし同時に、その項目や基準は、NICU によってさまざまであることも分かりました。例えば、無呼吸の観察期間(その間に無呼吸がなければモニタリングを終了する基準)は、施設によって1〜8 日と大きく幅がありました。さらに、早産以外の入院理由の赤ちゃんも考慮すれば、退院基準はさらに複雑になるでしょう。NICU の退院基準は、その施設のポリシーやケア文化、入院する赤ちゃんの集団によって大きく違うのです。
NICU の退院基準、あるいは退院の決定をややこしくしているもう一つの要因は、両親など家族側の準備が必要であること、およびその評価が難しいことです。家族に必要となる退院準備には、退院後にケアを行う両親などの手技や知識の習得が十分であることはもちろん、両親がそれらに自信を持っていることも含まれます2)。家族に必要な準備をどう進めるか、あるいはどのように評価するかは、ファミリーセンタードケアにおいて非常に重要なテーマの一つです。
続きは『with NEO』2024年4号をご覧ください!
〜本誌では以下の内容が読めます〜
・退院の準備と退院基準
・家族の退院準備とその進め方
・実際のトレーニング内容
・退院準備の振り返り
・トゥルク大学病院での家族の退院準備
・今回のまとめ
2)Itoshima, R. et al. Impact of discharge criteria on the length of stay in preterm infants:A retrospective study in Japan and Finland. Early Hum Dev. 193, 2024, 106016.