公認心理師の資格取得に対応
2018年4月、神戸学院大学に心理学部が誕生した。本学部の最大の特徴はカリキュラムが公認心理師の資格取得に対応していることである。フォーラムに先立ち開催された記念式典では、同大学長の佐藤雅美氏が「一人でも多く公認心理師になって社会に貢献してほしい」と開式のことばを述べた。
自治体における心理職の活用
開設記念フォーラムでは、心理学部長の秋山 学氏のあいさつの後、明石市長の泉 房穂氏による基調講演「明石市における心理職活用の実際と公認心理師の可能性」が行われた。明石市は自治体として臨床心理士の活用を積極的に進めており、2018年4月時点で4名の職員を常勤で雇用している。スクールカウンセラーや発達障害者支援、離婚後の子どもの面会交流支援など、さまざまな場で活躍しているという。
明石市はまた、臨床心理士のみならず専門職の雇用も推進しており、弁護士・社会福祉士・精神保健福祉士など約30名が勤務する。泉氏は専門職を活用する意義として①チームアプローチが可能、②アウトリーチができる、③ワンストップの支援を挙げ、「困っている人を市が見捨ててはいけない」と述べた。最後に学生に向けて「使命感をもち現場に出てほしい。そのためには広く社会と関わりをもつことが大切。心のケアは尊い仕事だが、見えにくいために目立たない。しかし誇り高くあってほしい」と熱いエールを送った。
公認心理師に求められる多職種との連携
パネルディスカッション「これからの社会に心理学はいかに貢献できるのか?-公認心理師養成のミッションを考える-」では、心理学部教授の石﨑淳一氏、三和千德氏、准教授の道城裕貴氏、講師の中川裕美氏がそれぞれの立場から講演を行った。医療現場においては「チーム医療」が、教育現場においては「チーム学校」が掲げられ、さまざまな職種や立場の人との関わりが求められる。また、産業領域では職場のチームを支援するという視点が必要となる。これから誕生することとなる公認心理師は、これまで以上に多職種連携が重要となってくるであろう。
(取材・構成:こころJOB編集室)