桃山学院教育大学
教育学部教育学科 教授 公認心理師
栗岡住子
私は、大学で精神保健学や公衆衛生学などを教えたり、学生へのカウンセリングを行ったりしています。また社会貢献として、企業などで働く人を対象に、メンタルヘルスの教育や個別のカウンセリングを担当したり、うつ病などで休職した人が職場に復帰できるようサポートを行ったりしています。
うつ病や発達障害を抱えて、生きづらさや働きにくさを感じている人に対する個別の支援では、まずは相談者の困っていることを丁寧に聴き、困難さを共有することが大切だと思います。そして、その人の持つ困難さを整理して、「環境調整を行うことで改善する問題」と「相談者の考え方や生活リズムなどを調整することで改善する問題」または「治療によって改善する可能性がある問題」などに分けて、具体的な対策を考えていきます。
特に近年ではメンタルヘルス対策に力を入れる企業などが多く、そのような企業や自治体に対して、どのようにメンタルヘルス対策を進めていくのかについての相談にも対応しています。
さまざまな支援を通して、相談者が再び元気に活躍されている姿を見たり報告を聞いたりすると、とてもうれしく、やりがいを感じます。
企業などで働く人は基本的には健康な方が多いので、働く人々がストレスをうまくコントロールできるように教育したり、ストレスで一時的に不調になっても早期に改善できるようサポートしたりするなど、働きながら精神的な健康を維持するための支援に努めました。その際には、周囲の臨床心理士の指導を受けつつ自己学習を継続して、メンタルヘルス・ケアのスキルを磨き、会社や働く人々のニーズに応えることができるように努力しました。そして、気が付けば、身体面の健康よりもメンタルヘルス・ケアが仕事の中心になっていました。
また、相談者自身からだけでなく、職場の上司や同僚、家族、治療中であれば主治医に話を聞くことで、多面的に相談者を理解することにつながります。メンタルヘルス・ケアを行う場合は、本人だけでなく、周囲の関係者と連携をとりながらサポートをしていくことも重要です。
話を聴くことは非常に集中力が必要で、対応する人数が多かったり問題が深刻であったりすると、とても疲れることがあります。また内容によっては、自分自身の気分が落ち込むことがあります。そのため、自分自身の心のコントロールも必要です。
このように、うつ病などの病気の人だけでなく、多くの人の役に立ち、より良い人生を過ごしてもらえるように、カウンセリングを気軽に利用してもらえることを望んでいます。特に学生に対しては、精神保健学などの授業を通して、カウンセリングを有効に活用することを勧めたり、アクティブリスニング(積極的傾聴法)を用いて友人との会話でカウンセラーのように相手の話を丁寧に聞く方法を教えたりして、スムーズな人間関係が維持できるコツを伝授しています。
多様な価値観を理解するためには、学生時代から友人や知り合いとの関係を大切にしたり、ボランティア、留学などを通じて多様な文化や考え方を理解するために、できるだけ多くの経験を積んでほしいと思います。
金曜日 メンタルヘルス・ケアの相談対応、個別のカウンセリング、職場復帰支援のサポートなど
土・日曜日 研修や学会などに参加
教育学部教育学科 教授 公認心理師
栗岡住子
いまの働きかた
私は、大学で精神保健学や公衆衛生学などを教えたり、学生へのカウンセリングを行ったりしています。また社会貢献として、企業などで働く人を対象に、メンタルヘルスの教育や個別のカウンセリングを担当したり、うつ病などで休職した人が職場に復帰できるようサポートを行ったりしています。
うつ病や発達障害を抱えて、生きづらさや働きにくさを感じている人に対する個別の支援では、まずは相談者の困っていることを丁寧に聴き、困難さを共有することが大切だと思います。そして、その人の持つ困難さを整理して、「環境調整を行うことで改善する問題」と「相談者の考え方や生活リズムなどを調整することで改善する問題」または「治療によって改善する可能性がある問題」などに分けて、具体的な対策を考えていきます。
特に近年ではメンタルヘルス対策に力を入れる企業などが多く、そのような企業や自治体に対して、どのようにメンタルヘルス対策を進めていくのかについての相談にも対応しています。
さまざまな支援を通して、相談者が再び元気に活躍されている姿を見たり報告を聞いたりすると、とてもうれしく、やりがいを感じます。
心理職をめざした理由
看護大学を卒業してからは、保健師として、働く人々の健康管理を行っていました。当初は、高血圧やコレステロール値が高いなどの生活習慣病を持つ人々の保健指導を行うなど、身体的な健康問題への対応が中心でした。しかし、次第にうつ病などのメンタルヘルスの問題が増えてきました。当時は、メンタルヘルスに関する知識もなく、どのように対応すればよいのか悩みました。企業などで働く人は基本的には健康な方が多いので、働く人々がストレスをうまくコントロールできるように教育したり、ストレスで一時的に不調になっても早期に改善できるようサポートしたりするなど、働きながら精神的な健康を維持するための支援に努めました。その際には、周囲の臨床心理士の指導を受けつつ自己学習を継続して、メンタルヘルス・ケアのスキルを磨き、会社や働く人々のニーズに応えることができるように努力しました。そして、気が付けば、身体面の健康よりもメンタルヘルス・ケアが仕事の中心になっていました。
実際になってみて
心の問題は、身体のけがのように目に見えたり、血圧のように測ったりすることができません。そのため、まずは相談者の話を丁寧に聴き、相談者の置かれている状況を正確に理解することが大切です。聴き手の聴き方や問いかけ方の技術によって、相談者にリラックスして心を開いて話をしてもらうことができますし、信頼関係をつくることができます。しかし、時にはうまく聴くことができず、大事な情報を聴き逃してしまったり、相談者が心を閉ざしてしまったりすることもあります。また、相談者自身からだけでなく、職場の上司や同僚、家族、治療中であれば主治医に話を聞くことで、多面的に相談者を理解することにつながります。メンタルヘルス・ケアを行う場合は、本人だけでなく、周囲の関係者と連携をとりながらサポートをしていくことも重要です。
話を聴くことは非常に集中力が必要で、対応する人数が多かったり問題が深刻であったりすると、とても疲れることがあります。また内容によっては、自分自身の気分が落ち込むことがあります。そのため、自分自身の心のコントロールも必要です。
これからの展望・希望
日本ではカウンセリングは特別な人が受けるもので、「うつ病など病気がある人や悩みがある人が受けるもの」だとか「自分は関係ない」と偏見を持っている人がいます。しかし一方では、「いろいろな課題があり、頭の中を整理したい」「より幸福な人生を送るために、今後の生き方について考えたい」というように、ポジティブなかたちでカウンセリングを活用する人も増えつつあります。このように、うつ病などの病気の人だけでなく、多くの人の役に立ち、より良い人生を過ごしてもらえるように、カウンセリングを気軽に利用してもらえることを望んでいます。特に学生に対しては、精神保健学などの授業を通して、カウンセリングを有効に活用することを勧めたり、アクティブリスニング(積極的傾聴法)を用いて友人との会話でカウンセラーのように相手の話を丁寧に聞く方法を教えたりして、スムーズな人間関係が維持できるコツを伝授しています。
心理職に就きたいと思っている学生へ
カウンセリングでは、いろいろな人のさまざまな考え方に接しますし、それについて理解しようと努めます。しかし、自分自身の価値観が凝り固まっていたり、いろいろな人の考え方を否定的にしか受け止められなかったりする場合は、相談者の気持ちを理解することが難しくなります。多様な価値観を理解するためには、学生時代から友人や知り合いとの関係を大切にしたり、ボランティア、留学などを通じて多様な文化や考え方を理解するために、できるだけ多くの経験を積んでほしいと思います。
1週間のスケジュール
月~木曜日 大学で講義など金曜日 メンタルヘルス・ケアの相談対応、個別のカウンセリング、職場復帰支援のサポートなど
土・日曜日 研修や学会などに参加