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これから「新人助産師・助産師学生のためのよくわかる児頭回旋〈正常編〉」の解説講座を始めます。児頭回旋のメカニズムはなかなか理解しにくいと思われがちですが、その原理を知ると、決して難しいものではないことが分かると思います。
児頭回旋について解説を始める前に、胎児の縦軸・横軸について説明します。
胎児の場合、殿部から頭部を貫く中心線を「縦軸」、左右を貫く中心線を「横軸」と呼んでいます。これらの軸の周りを回転するとき、縦軸回転あるいは横軸回転となるわけです。
児頭回旋には4種類あります。第1回旋は「横軸回旋」、第2回旋は「縦軸回旋」、第3回旋は再び「横軸回旋」、第4回旋は「縦軸回旋」というように、横軸と縦軸の回旋を交互に2回ずつ、計4回繰り返すのが児頭回旋のプロセスです。
交互に回旋を繰り返す現象は非常に興味深いところですが、そもそもどうしてこのような過程をたどるのでしょう? これは、胎児が好んで自ら回旋しているのではありません。言い換えれば、骨盤の形と自らの姿形から無理やりそのように仕向けられているのです。
これからその原理についてお話を進めていきます。
最初に、児頭回旋を理解する上で重要な児頭の形態についておさらいをしていきます。児頭が狭い産道を通過する際、その先進部がどこになるかによって、産道を通過する最大径が変わってきます。
もし後頭部が先進したとすると通過径は小斜径となり、児頭の最小径となります。順に、頭頂部が先進すれば前後径が、前頭部が先進すれば大斜径が通過することになります。
つまり、児頭が最も円滑に産道を通過するためには、後頭部を先進させて小斜径で産道を通過する必要があるわけです。これが横軸回転をとることになる重要な要素です。
次に、ヒトの産道の話をしましょう。ヒトの脊椎は、ほかの四足動物のそれがほとんど直線的であるのに対し、頸部と腰部の2カ所でS字状に湾曲しています。特に腰椎は大きく前方に傾斜しています。そのため、ヒトの産道もS字状に湾曲した管のような構造をとっており、これが児頭回旋に大きな影響を及ぼすことになります。
後頭部を先進させることと、産道がS字状に湾曲していることから、児頭の横軸回旋はもたらされます。まず産道を湾曲した管だと想像してください。児頭が下降し骨盤入口部に達すると、後頭部を先進させるために頭を前屈させます。そして後頭部の先進を維持したまま小斜径で産道を進みます。最後に骨盤出口部に達すると、やはり後頭部を先進させて娩出するわけですが、身体は骨盤内に残っているので、結果的に頭を上げてのけ反ったような形、反屈姿勢となります。この一連の過程が、児頭の横軸回旋の原理です。
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