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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing 【助産師国試対策】実際の問題を解説|ペリプリ|#021

2024年1月29日に開催された「ぺリプリスペース」第20夜では、「助産師国試対策:実際の問題を解説」をテーマに、第105回助産師国家試験の状況設定問題について解説をしていただきました。

【第105回助産師国家試験の解説】

◆キャリーさん(病院勤務・実習指導助産師) 

今回は、第105回助産師国家試験の状況設定問題である「問42〜44」について解説します。実際の問題は、以下の画像のとおりです。

出典:「第105回助産師国家試験問題 午後 問題」(厚生労働省)


まずは、問題の状況を整理しましょう。
正期産の経産婦さんが、陣痛疑いで来院した事例です。
・陣痛間欠は8分
・モニターは異常なし
(胎児心拍数140bpm、基線細変動正常、一過性頻脈があり徐脈がない)

これらの情報から、胎児は元気だと予測できます(図1)。


図1モニターイメージ1

胎児心音が聞こえた「母体の右側、臍棘線上中央」というのは、図2の位置を指します。


図2 児心音の聴取部位

「大泉門が触れる」ということは、胎児はまだ「屈位」を取れていないといえるでしょう。そして内診所見からは、児頭の位置は図3のようだと判断できます。


図3 児頭の位置1

これらの情報を頭でイメージしながら、実際の問題を解いていきましょう。

<問42>

出典:「第105回助産師国家試験問題 午後 問題」(厚生労働省)


児心音の聴取部位(母体の右側、臍棘線上中央)や、小泉門・大泉門の位置関係から、母体の右側に児背があると予測できます。そのため、胎向は「第2胎向」だと考えられ、選択肢の1番と2番は除外できます。

次に、選択肢3番と4番ですが、
・大泉門が触れる=屈位が取れていない
(仮に屈位が取れていたなら、小泉門が先進して触れるはず)

という観点から、第1回旋していない第2前頭位だと考えられ、4番が正解だとわかります。

<問43>

出典:「第105回助産師国家試験問題 午後 問題」(厚生労働省)


各選択肢がどのような状況であるかを考えながら、正解を導いていきましょう。

まずは、選択肢1番の回旋異常についてです。
陣痛開始から6時間後の内診所見として「小泉門が先進し、11時方向に触れた」と記載されています。そして「大泉門が触れる」という記載はありませんでした。
ここから、陣痛開始後より、児頭が図3図4の状況に変化したと考えられます。


図4 児頭の位置2

これは、正常な第2回旋の過程だと考えられるため、選択肢1番(回旋異常)は除外できます。

選択肢2番の早期破水については、
・「水っぽいおりものが流れた」「BTB試験紙が青変した」などの記載がない
・陣痛発作時に、緊満感は乏しいが胎胞が触れる

などの情報から、未破水だと考えられます。
そのため、選択肢2番(早期破水)も除外できます。

次は、選択肢3番(微弱陣痛)についてです。
内診所見によると、子宮口は6cm開大。ここから、今は分娩第1期だと考えられます。そのため本来であれば、陣痛は3〜5分ごとに来てほしいところです。
しかし文中には、
・陣痛間欠が8分から7分に短くなっている
・陣痛発作が40秒から30秒に短くなっている

と記載されています。
子宮口が4〜6cmの場合、「陣痛間隔が6分30秒以上、陣痛発作40秒以内」は、微弱陣痛にあたります。そのため、3番(微弱陣痛)が正解だといえるでしょう。

最後に選択肢4番(胎児機能不全)についてです。
・胎児心拍数基線140bpm
・基線細変動20bpm
・徐脈の記載がない

などの情報から、胎児は元気だと考えられるため、選択肢4番(胎児機能不全)は不正解だとわかります。

<問44>

出典:「第105回助産師国家試験問題 午後 問題」(厚生労働省)


まずは、これまでの経過を整理します。

入院時から6時間後までの経過を見ると、Aさんの分娩は「ゆっくり進行している」とわかります。それは、微弱陣痛が原因だといえるでしょう。
そこからさらに時間が経過して、今は陣痛開始から10時間後。子宮口8cm開大、ステーション+1まで進行してきましたが、陣痛間欠はまだ「6分」です。また、Aさんは疲れた様子であり「昨夜からあまり眠れていない」と発言していました。
そのため、今の状況としては「微弱陣痛による分娩遷延」→「疲労の蓄積」→「陣痛の弱化」→「分娩遷延」という悪循環に陥っていると予測できます。

次に、胎児の状態についてです。
・胎児心拍数基線140bpm
・基線細変動6〜25bpm
・最下点100bpm
・回復まで20秒の変動一過性徐脈が2回

これらのモニター所見から、胎児心拍数波形のレベル分類は「2」であると判読できます(図5)。


図5 モニターイメージ2

そしてレベル2の場合、助産師の対応としては「連続監視」「医師に報告」などが求められます。
ここまでの状況が整理できたら、問44の各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1番の「経過観察する」については、
・休息が取れていないAさんの体力が心配
・胎児心拍数波形レベル2であり「医師への報告」が必要

という観点から、不正解だとわかります。

選択肢2番の「院内の階段昇降を促す」も、Aさんの疲労が心配なので、不正解だといえます。

選択肢3番の「帝王切開術の準備をする」については、仮に胎児心拍数波形レベルが3であれば正解でした。しかし、今回の胎児心拍数波形レベルは2であるため、不正解だとわかります。

最後に選択肢4番の「子宮収縮薬の使用を医師に相談する」ですが、これが正解です。
母体疲労や微弱陣痛を認めることを考慮すると、娩出力を補うためにも、子宮収縮薬の使用を医師に相談するのが適切だといえるでしょう。

以上で、過去問の解説を終わります。

 *  *  *

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(協力:田口ひづる)


❤ペリプリ(Perinatal Care プリセプターズ)メンバー

助産師キャリー/アドバンス助産師
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