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トップページ 新生児・小児/助産/ウィメンズヘルス Cure&Care&Nursing 与えられた出会いを最大限に活かして|田中佳世|Roots|#002

独立行政法人地域医療機能推進機構 熊本総合病院 産科婦人科

田中佳世


 産婦人科を選んだ理由を学生さんに尋ねられたら、私は「宮崎県の病院で研修医だった頃、“集中治療と手術がしたい”と産婦人科研修の指導医に相談したら、“産婦人科は母体救急やNICU ができて、婦人科手術で悪性・良性の両方ができるからいいよ”と言われ、産婦人科に魅力を感じたから」と答えている。しかし、裏には、この指導医=現在の夫で、「同じ科に進んだほうがうまくいきそうと思ったから」という事情もある。

 夫と同じ診療科に進んだ利点は多々あり、十数年経った今でも変わらない。ただ、夫とは医師としてのキャリアの差が大きいため、自分よりも夫の事情を優先するのがベストと考え、働いてきた。宮崎から大阪、そして三重へ仕事の拠点が変わり、「自分のしたいこと」を考える余裕はなく、「今、自分ができること」をやり続けることで精一杯だった。予期しないこともいろいろ起こった。が、その都度、与えられた機会を最大限に活かして進むことを心がけた。研修医の頃に思い描いていた産婦人科医になれたか? と問われると「No」ではあるが、自分のやりたいことよりも、与えられたことに全力を尽くしたほうが、自ずと良い方向に進んでいくような気がしている。

 宮崎・大阪・三重での様々な経験は、「産婦人科医としてどうありたいか」を私に教えてくれたとても意義深いものだった。これまでは、夫の“セット”としてキャリアが決まっていたが、年齢的な節目を迎え、「地元に戻って診療したい」と初めて希望を伝えたところ、夫は同意してくれた。地元に戻るにあたりご尽力いただいた池田智明教授、近藤英治教授には感謝しかない。この先、また予期しないことがたくさん起こるだろうが、変わらず前向きに進んでいきたいと思う。


本記事は『ペリネイタルケア』2024年2月号の連載Rootsからの再掲載です。

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