*本記事は2023年11号掲載記事「特集9 マニュアルに加えたい!図表で分かるノロウイルス対策」の再掲載(一部抜粋)になります。
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◎嘔吐物処理セットの内容とポイント
◎嘔吐物処理手順書
嘔吐物のカバーとPPEの着用
嘔吐物を発見したら、嘔吐物処理セットと次亜塩素酸ナトリウム溶液を持参し、現場へ向かう。まず、紙ワイプで嘔吐物を覆い、嘔吐物が周囲へ飛散したり舞い上がったりしないよう保護をする。その後、嘔吐物から離れた場所でPPEを着用する。
また、患者や利用者のケアが同時に必要となることから、職員は2名体制で行うのが望ましいが、一人で実施しなければならない場合、PPEを着用し、先に患者や利用者のケアに当たり、周囲の患者や利用者に嘔吐物から離れてもらう、あるいは近付かないよう声を掛ける。
ごみ袋と消毒の準備
嘔吐物の処理が行いやすいよう、手が汚染していないうちに事前に次の2つを準備する。1つ目に、ごみ袋2枚(嘔吐物と嘔吐物を処理した紙ワイプや不織布ガーゼを入れるごみ袋Ⓐと、ⒶとPPEを入れるごみ袋Ⓑ 図2 )を嘔吐物の近くにセットし、すぐに嘔吐物を入れられるようにしておく。また、ごみ袋の口は大きく広げ嘔吐物を入れやすいようにしておく。2つ目に、次亜塩素酸ナトリウム溶液を塗布した不織布ガーゼを作成しておき、嘔吐物処理後にすぐ消毒ができるようにしておく。
嘔吐物の回収と廃棄
準備が整ったら嘔吐物処理を始める。まず嘔吐物を外側から内側へ集め、嘔吐物がなくなるまで嘔吐物の除去を繰り返す。目で見える嘔吐物が除去できたら、アウター(外側)手袋を取り外し、ごみ袋Ⓐに廃棄する。インナー手袋が汚染した場合は、インナー手袋も取り外し、予備の新しい手袋を着ける。
次に、次亜塩素酸ナトリウム溶液を塗布した不織布ガーゼを用いて消毒を行う。嘔吐物は広範囲に飛び散っていることから、嘔吐物から半径5 mを消毒する1)。消毒完了後、使用したガーゼをごみ袋Ⓐに入れ、まとめてⒷのごみ袋に入れる。
PPEを外す際のポイント
次に、PPEを外す。手袋が最も汚染していることから、手袋から取り外す。その後、ガウンの表面に触れないよう気を付けながらガウンを脱ぐ。手袋、エプロンをごみ袋に廃棄したら、ごみ袋Ⓑを閉じる。ごみ袋を感染性廃棄物容器に廃棄後、石けんと流水による手洗いを実施し、その後ゴーグルとマスクを外す。