Q1.力動論に基づく心理療法に関する記述として誤っているものを選択せよ。
A.力動論に基づく心理療法とは、精神分析を起源として発展してきた多様な心理療法群の総称といえる
B.心理力動的な心理療法の本質は、要支援者が十分に体験したことのない自己の探求にあるとされる
C.心理力動とは、早期に端を発した対人相互作用のパターンや体験回避のパターンを指すものと説明されることがある
D.心理力動的な心理療法とは、現在の対人相互作用のパターンを、嫌悪刺激に対する逃避と回避についての学習実験の知見から理解しようとするものである
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Dが正解です。心理力動的な心理療法、心理力動自体についての説明は多岐にわたりますが、「早期に端を発した対人相互作用のパターンや体験回避のパターンを指すもの」と説明されることがあります。
*参考文献:一般財団法人日本心理研修センター監修.公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版.東京,金剛出版,2018,203.
Q2.行動論・認知論に基づく心理療法についての記述として誤っているものを選択せよ。
A.行動論・認知論に基づく心理療法として、認知行動療法が知られている
B.認知行動療法は、「1950年代に連合説に基づく学習理論の応用である行動療法として誕生した」と紹介されることがある
C.連合説に基づく学習理論とはSSR理論とも呼ばれる
D.マインドフルネスやアクセプタンス&コミットメント・セラピーは、行動論・認知論に基づく心理療法の潮流における近年の展開として位置づけられることが多い
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Cが正解です。心理学における学習理論を大別する際に、連合説と認知説に二分することがあります。この連合説とは、もともと紐づいていなかった刺激と反応が新たに紐づくことを「連合」と呼び、連合が生じることを「学習が成立した」と捉えるものです。学習の連合説はS-R理論とも呼ばれ、Sは刺激(stimulus)、Rは反応(response)を指しています。
Q3.心理療法および心理的支援についての記述として、誤っているものを選択せよ。
A.ヒューマニスティック・サイコロジーは、精神分析の潮流、行動療法の潮流のいずれとも一線を画する、第3の潮流として1960年代に出現した
B.システム論的アプローチは、援助対象を「問題や症状を呈している個人」ではなく、「家族や職場などの援助対象者の所属するシステム」と考える
C.日本で生まれた心理療法の一つとして、森田療法が知られている
D.統合的アプローチは2010年代初頭に提唱された、次世代の心理療法である
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Dが正解です。統合的アプローチは、それ自体が心理療法の名称ではありません。これは、1つの学派に依拠するのではなく、多様な学派の存在を要支援者のための有効な資源と捉え、多様な要支援者に対して、さまざま視点や技法を生かして、統合的により効果的な心理的支援を行おうとする立場とされています。
■監修:長内優樹(Secondary, LLC)